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第2話

桃太郎がお爺さん達の家を出てしばらく歩いていると犬に出会いました。その犬が言いました。 「桃太郎さん、お腰につけたきびだんご、ひとつ私に下さいな♪」 桃太郎はお爺さんAの持たせてくれた特製きびだんごを犬にあげてもいいものか?と悩みましたが、つぶらな瞳で待つ犬に負けひとつ差し出しました。 それを食べた犬が、ボンっという音と共に白い煙に包まれ、人間の姿に変身しました。 「キミ、これから鬼退治に行くのでしょう?仕方ないからボクがついて行ってあげるよ」 キレイな顔の青年になった犬の物言いに気後れしながらも桃太郎は犬をお供にする事にしました。 「え?あ、はい。よろしくお願いします」 桃太郎が頭を下げた時にふわっと香った甘い匂いに犬がピクリと反応しました。 「………キミ、いい匂いがするね」 犬は桃太郎に近付き、首の拘束具に鼻を寄せクンクンと匂いを嗅ぎました。 「…え、な、なんですか?」 「…これがジャマしている。ねえ、これ外してもっとキミの甘い匂い嗅がせてよ」 犬は桃太郎から微かに香る『ももっしゅ』の香りに既にあてられているようでした。 ほのかに頬を染めトロンとした目の犬が桃太郎の拘束具にキバを立てると、犬のキバが拘束具の留め金に当たり拘束具が外れてしまいました。 十数年ぶりに解放された桃太郎の『ももっしゅ』。それは長い年月の間に熟成され匂いだけでも酔い淫らに乱れる成分を含んだものになっていました。 「は、あ、…なに、これ。…からだ あつい」 犬は桃太郎にしがみつき、腰を擦りつけました。そんな犬の様子に桃太郎も淫らな気分になり犬の中心部に自分のモノを当て合わせ腰を振りだしました。 「…はあ、…あ。…犬さ ん。…ごめんなさい、ごめんなさい、…おれ、…こし、…とまら…な…」 「…ももたろう、…いい よ、…ん、はぁ、…いっしょに、…イ こう」 二人は一段と激しく腰を振り扱きあうと、二人同時に果てたのでした。 一度出した事により『ももっしゅ』の効能が落ち着いた桃太郎は、急いで拘束具をはめ直し犬に謝りました。 「…すみません。俺のせいで犬さんにまでご迷惑をかけてしまって…」 「…もういいよ。今のはボクも悪かったし。…それよりそれ、人前で二度と外れないように注意して」 と、二人が話をしている時に背後に忍び寄る影がありました。 「桃太郎さん♪お腰につけたきびだんご、ひとつ私がもらって行くね♪」 イタズラ猿が桃太郎の腰にさげた袋からきびだんごをひとつ取って、近くの木の上へとかけ登りました。 その際、猿の尻尾が桃太郎の拘束具に当たり、カチャリと音がしてまたしても拘束具は外れてしまいました。 「…え?」 「…ちょ、…なんで、また!」 再び、乱れる二人。 木の上の猿は、きびだんごを食べて黒髪の可愛い系に変身していて、顔を真っ赤に染めて、二人の一部始終を見守る事となってしまったのでした。 「…本当、信じられない」 怒り心頭の犬の前で、桃太郎と猿は恐縮してひたすら謝っていました。 「すみませんでした。俺の体質のせいで二度までも犬さんに迷惑を…」 「…さっき言ったばかりだよね?ちゃんと反省して」 「桃太郎が悪いんじゃないよ。俺がイタズラ心を出してしまったから。犬さん、ごめんなさい」 「キミも、あんなイタズラ、次やったら許さないよ」 「はい!すみませんでした!……それであの、…二人のさっきの事は、誰にも言いませんから…」 顔を真っ赤に染めて恥ずかしそうにもにょもにょと言う猿に、桃太郎も犬も同じく顔を真っ赤にして怒ったのでした。 「当たり前だ!」 「当たり前だよ!」 こうして猿も加わり3人で旅をする事になりました。 しばらく道なりに歩いて行くと、岩の上でぐったりと横たわる雉の姿がありました。 「大丈夫ですか?しっかりして下さい」 慌てて桃太郎が駆け寄り雉を抱き起こすと、か細い声が返ってきました。 「…なにか、たべも…の」 桃太郎からきびだんごをもらい食べた雉は桃色の長髪が似合う青年に変身しました。 「いや~、ホント助かったわ。ちょっと寝こけてたらお腹すいて動けなくなっちゃってよ。お前、鬼退治に行くんだろ?お礼に俺もついて行ってやるよ♪」 陽気な雉が人好きするような笑顔で桃太郎に笑いかけると、桃太郎の胸がきゅんとなりました。 すると、拘束具が外れてもいないのに、途端に放出される甘い匂い。 その匂いをいち早く察知した犬と猿が桃太郎から距離をとりました。 「ちょっと、どういう事?また外れたの?」 「いえ、拘束具は外れていません。なぜか急に『ももっしゅ』が漏れ出てしまったみたいで」 苛立つ犬に桃太郎が懸命に弁明していると、猿が雉の異変に気づきました。 「ああ、雉さんがっ。あんな雉さん、俺、見てられないよっ」 おろおろとした猿が指差す先では、先程と打って変わった雉の乱れた姿がありました。 「…はあ、…はぁ、…くるし…い。…だし…たい、…だれかぁ、…イカ …せて」 地べたに座り込み、着物を乱して哀願する雉。その瞳は潤み美しい桃色の髪が振り乱れて尚エロさが増していました。 「…ボクが彼を鎮めるよ。桃太郎、キミは雉から離れて。その駄々漏れになっている『ももっしゅ』を止めて」 「…分かりました。犬さん、すみません。雉さんを頼みます」 桃太郎はそう言うと猿を伴い急いでその場を離れました。 犬はため息をひとつつくと、雉に向き直りその体を支え茂みの中へと移動しました。 「…キミも災難だね」 「…は、…あぁ、…い ぬぅ、…はやく、…ちょうだ…い」 「…ん。そうやってボクにしがみついていて。…ボクを受け入れて」 犬は雉に覆い被さると抱き締め、自身を雉の中へと埋め込んだのでした。 「重ね重ね、すみません!」 「………」 「まあ、いいよ。俺が悪かったみたいだし?気にするな。これから仲間になるんだ、仲良くやっていこう」 寛容な雉が桃太郎を許し、4人で鬼退治に行く事になりました。 ――鬼ヶ島まで、あと少しです。

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