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第3話

 雪政は行為の間中ずっと「愛してる」とささやき続けた。  涙も枯れ果て声もかすれてでなくなるまで凌辱は続いた。痛みが途中から快感に変わるなどという奇跡もなく、ただもう何もかもがわからなくなってどうでもよくなるとふっと体の力が抜けた。何も感じないほどに痛みに麻痺してしまった。  体を抉るような雪政の行為は何か切実なものをはらんでいたが、透にとってそれはただの暴力という恐怖だ。  すべてが終わった後、雪政は寝室内に取り付けられたユニットバスで優しく体を洗ってくれた。それは何の慰めにもならなかった。抜け殻のようになった透を満足げに眺めて「愛してる」とささやく。  ずっとずっとずっと「愛してる」「愛してる」「愛してる」と繰り返される意味のない音は透の頭の中を恐怖で支配し服従させた。その言葉が聞こえるたびに透はおびえることになる。

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