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第5話

 何度それが繰り返されたのか。  時間の感覚などもとよりなく、透がただぼんやりと寝ている時。いつものように雪政が食事を運んできた。  しかし何も言わず黙ったまま、食べさせる事もなく出ていく。パタンとしまったドアをぼんやりと見て、ちりりと透の頭の中のどこかが熱を帯びた。  しばらくして戻ってきたが、雪政はやはり何も言わず、ちらりと手付かずのままの皿を見た。その視線の動きに透はおびえた。食べなかった事を怒られるかもしれないと思ったのだ。しかし無言のまま雪政は透をベッドに押し倒す。 「愛してる」もキスも愛撫も何もないままに、一応受け入れる準備だけさせられて黙って体を貫かれた。それは今までと同じで一方的なものだった。それなのに雪政の声が、指が、息が、己の肌に触れないというだけで、透の胸は焼けるように焦りだした。 「兄さん、キスは……」  乞うように手を伸ばす。今まで一度たりとも自ら望んだことなどなかった。それなのに、ねだるような甘い声を出す自分に吐き気がする。  そのすべてを無視されて、ただ淡々と腰を動かし射精をして雪政は部屋から出て行った。  わけがわからなかった。  重い体を引きずりシャワーで体を流していると、後ろからどろりと雪政の精液が伝い落ちてきてその場で嘔吐した。

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