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第39話  リフォーム②

真矢はそんな兄弟を暖かく見守っていた 子を……託されるなら、飛鳥井の子達のように優しい子に育てて行こうと想っていた 本当に不思議なのだが、兄弟を見ていると湧き上がる様にそんな風に思えていた 清四郎の方を見ると同じ気持ちだったのか、静かに頷いた 真矢はこの人を夫に持って本当に良かったと心から想っていた 瞳を見ただけで互いの想いに触れられるなんて…… 泣きたい位の幸せを胸に抱いた その夜、子供部屋完成披露の宴を設けた 静かに家族で祝っていると、戸浪から電話が掛かって来た 「もしもし、若旦那どうしたのですか?」 康太が問い掛けると戸浪は 『康太、どうして教えてくださらなかったのですか?』と寂しい声色で問い返された 「え?何をですか?」 『流生が自分達の部屋が出来た!とラインをくれたのです! 謂って下されば、私達だってお祝いをさせて貰いました!』 「流生、若旦那に部屋の写真送ったんですか?」 『ええ、嬉しそうにラインしてくれました』 「そんな大層な事じゃなかったから……」 『いえいえ、君の子供達の行事じゃないですか! 解っていたなら、全員にお部屋の装飾類でも贈りました!』 初等科2年に進級してキッズ携帯を子供達に渡した 何かあった時の為と、個別に相談を聞きやすくする、そんな意図を含めて携帯を持たせたのだ だが子供達が携帯を持っていると知ると、戸浪を始めとる大人達は即座に友達登録したのだった 戸浪はまだまだ食い下がる事なく 『翔も音弥も太陽も大空も烈も自分の部屋の写メをくれたのです! 御祝いせずにいられますか! 多分、グループチャットだったから皆知ってますよ!』 グループチャット……何もグループの方で送信せんでも…… 康太は慎一に「ちなみに流生のグループチャットって誰よ?」と問い掛けた 慎一は何も言わずに流生の携帯を取ると、グループチャットのメンバーを表示させた 兵藤、安曇、堂嶋、神野、相賀、加賀、栗田、脇田、戸浪、蔵持、城ノ内、愛染、城田、中村、陣内、佐野、神楽、笙、長瀬、今枝、東城洋人とまぁ錚々たるメンバーだった 康太は「何時、流生とライン交換したのですか?」と問い掛けた 『春先に携帯持たせて貰ったからと電話して来てくれたのです その時にラインもしてると聞いたので、慎一に言って登録して貰ったのです それを聞き付けた人達が……友達申請して……今に至っているのです』 康太は携帯なんて持たせるんじゃなかった……と後悔した 学校には携帯は持たせてはいない 塾とか習い事に逝く時に何かあった時用に持たせたのに…… 「若旦那、後日場を設けます その時に子供達の部屋を見に来て下さい」 『解りました、無理言ってすみません 流生がお部屋の写メを送ってくれたので、舞い上がってました そして我が子の部屋の参考に見たいとも思ったのです 逆に無理言って申し訳なかった』 「気にしないで下さい 田代と連絡を取り、うちの秘書とスケジュールを調整した方が良いですね 増えるなら力哉の方に連絡して下さい!」 『解りました!楽しみにしてますね!』 そう謂い戸浪は電話を切った 流生は心配そうな瞳をして康太を見ていた 康太は携帯を流生に返して 「お部屋気に入ったか?」と問い掛けた すると嬉しそうに笑って「うん!」と返した 団欒でのんびり飲んでるとインターフォンが鳴った 慎一が立ち上がりインターフォンのカメラを作動すると兵藤が立っていた 慎一は玄関に向かい兵藤を迎え入れた 応接間に通すと康太が「よぉ!久し振り!」と片手を上げた 応接間にいる皆は既に出来上がっていた 兵藤はそんな事は気にせず 「流生がグループチャットでお部屋を見せてくれたからな 気になって来てみたんだよ!」 と康太に告げた 「日本にいなかったもんな貴史 何時還ったのよ?」 「今さっき、家に荷物を置いて出て来たんだよ」 裏の兵藤さんには絶賛建替え中だった 今 兵藤さんちは飛鳥井記念病院の入ってるマンションに仮住まいを構えていた 子供達は皆、久し振りに見る兵藤君に抱き着いていた 流生が「お部屋見に来てくれたの?」と嬉しそうに問い掛けると 「そうだぜ!お前達のお部屋を見に来たんだよ!」と答えた 「その前に、おめぇの母ちゃんに話があんだよ!」 と謂い兵藤はロシア語で康太に話し掛けた 康太もロシア語で返答を返し何やら深刻な顔で話していた 榊原は表情一つ崩す事なく二人の会話を聞いて ロシア語で詳細を問い質していた 一頻り話をすると「で、トドメを何時刺しに逝くか考えといてくれって!」と何でもない風に日本語で話すと立ち上がり 「んじゃ、兵藤君に部屋を見せてくれ!」と言った 子供達は喜んで立ち上がり、兵藤の横に並んだ 烈も遅れて立ち上がると虎之助が烈の肩に飛び乗った 兵藤は虎之助を抱っこすると 「相変わらず烈ラブだなお前は」と謂い呆れた様な顔で撫でた 兵藤は子供達と共に応接間を後にした 康太は榊原の顔を見た 榊原は康太の視線を受け「Наполненный……」と呟いた 康太は静かに頷いた 暫くすると兵藤が子供達と共に帰って来た 「めちゃくそすげぇ部屋だな!」と興奮冷めらぬ感じで謂った 康太は「貴史、和希達の部屋も見てやってくれ!」と謂うと兵藤は「おー!見せてくれ!」と言った 和希と和真と北斗と永遠は兵藤と共に部屋を見に行った 瑛太は烈の上の猫をヒョイと持ち上げると、膝の上に置いた 瑛太に撫でられるのが好きな虎之助は大人しく喉を鳴らして目を瞑っていた 慎一は子供達の前にヘルシーな手作りのケーキを置いた 翔や烈でも食べられるように米粉でパン生地を作りを、脂質の抑えたクリームで作りあげたケーキだった フルーツをふんだんに使ったケーキに子供達は瞳を輝かせていた 和希達の部屋を見終えた兵藤が応接間に戻って来ると、子供達と同じケーキと珈琲を兵藤の前に置いた 「貴史、瑛智の部屋も見てやってくれ!」 「おっ!瑛智も部屋を作って貰ったのか? なら見せてくれよ!」 兵藤が言うと瑛太と「私もまだ見てません、見せてくれますか?」と問い掛けた 瑛智は「はい!」と答えると二人を連れて応接間を後にした 瑛智は2階に新たに作られた自分の部屋と前まで行くとドアを開け電気を付けた 瑛太は言葉をなくした 兵藤も何とも言えない気分になった これは子供部屋ではない それが二人の感想だった 瑛太は兵藤に「他の子の部屋も……こんな感じでしたか?」と尋ねた 兵藤は困った顔をして 「その子にから合わせて部屋は作られていました 烈は和室でしたが、その他はその子らしさの様式の部屋でした」と答えた 瑛太は少し考えて……… 「ならば次期社長の教育が始まると謂う事なんですね」と答えに辿り着いて言葉にした 瑛智はコクッと頷いた 「ならば専属の家庭教師が着くのですね その為の部屋をしたのですね康太は……」 兵藤は「もう教育するのかよ?また幼稚舎だろ?瑛智は」と早過ぎな決断に思わず言葉が出た 瑛太は「私は生まれた時から後継者で総代が決まってました……物心着く頃には教育が始まってました、それに比べたら遅いのかも知れません……」と弟の愛を感じていた 兵藤は「まぁ、お前には頼りになる彼奴等がいるしな、気負わず頑張れ!」とエールを送った 瑛智は黙って頷いた 瑛太は「父もいます、気負わず学べば真贋の果へ逝けますから大丈夫です」と不器用で寡黙な男は我が子へと言葉を掛けた 部屋を見て応接間に戻ると笙家族もやって来ていた そして兵藤の母の美緒もやって来ていた テラスで烈と柚が楽しげに犬と共にいた あまり食べちゃいけない烈は何時だって、自分の分を食べ終えるとワン達と過ごしていた 虎之助はガルに舐められて気持ちよさそうに丸くなっていた 兵藤はそう言えばガルの背中に何時も乗ってる猫は?と想い 「あの美味そうな名前の猫はどうしたの?」と問い掛けた それに答えのは一生だった 「シナモンは一ノ瀬の病院で入院中だ」と説明した 「え?何処か悪いの?」 「あの猫虐待受けた猫だろ? それは瀕死の怪我を負って全身の骨もポキポキだったんだよ それを康太が何とかこの世と繋いで生きていたって感じだったからな……どう後遺症が出るか?って感じだったんだよ でもガルが必死にシナモンの世話を焼いていたからな、何とか元気に過ごしていたんだがな 成長に伴い骨が悲鳴を上げて動けねぇ様になっちまったんだよ で、今は入院させてあるんだよ」 「ガル……淋しいだろうな…」 「毎日俺が病院まで面会させに連れて行ってるんだよ」 「悪いのか?そんなに……」 これから秋になり冬になるだろ? 寒さが命取りになるからな……気温を管理された病院の方が安全だろうって一ノ瀬が言ってたから入院させたんだよ」 兵藤はテラスにいるワン達を見た コオは大分年を取った イオリは傍から離れないから……その時を考えるだけで胸が締め付けられる 康太は兵藤の肩を叩き 「飲むぞ貴史!」と謂った 兵藤は笑って呑兵衛の巣窟へと入って行った その夜の飛鳥井は久し振りに明るい笑い声が響き渡っていた 子供達の部屋の完成披露祝賀会は後日 日を改めて再度行わられた 戸浪を筆頭に流生や子供達とラインで繋がっている者達が黙っている訳もなく…… 力哉と西村沙織が参加者の調整をして日程を決めた そんな大掛かりにする気のなかった康太は、副社長室で「ねぇよな?」とボヤいていた 榊原は笑って 「ポンポンの手が止まってますよ?」と笑って謂った 康太は副社長室で決済の書類に副社長の印をポンポンと押していたのだった 「だってよぉ伊織」 再びポンポンと印を押してボヤく いつの間にあんなにライン仲間が増えてるのよ? 我が子の形態を見せて貰うとどの子も流生と同じようにラインのグールメンバーに名を連ねていた 家族や真矢や清四郎だけならまだしも……子供に甘い奴ばかり味方に付けたみたいで……ついついボヤきが出た 榊原は「我が子はとても社交的たと今更ながらに驚きましたよ、僕だって」と康太の愚痴に同調して謂った 宴会当日、客よりも先に祝い品が運び込まれた 応接間の四隅にどんどん積み上げられる祝の品に、慎一は忙しそうに荷物を搬入していた その合間を縫って仕出し屋に料理の確認 つまみや魚介類は市場に買い付けに行った そうして迎えた子供達完成披露祝賀会が行われた 客間に一定の距離を取り仕出しの善を並べる 茶室の襖も取っ払い茶器を片付け釜に蓋をすると、客間と一つの部屋になる仕組みで、大勢押し寄せても大丈夫になっていた 今日は今枝浩二は取材の為行く事は出来ないからと、昼にやって来て祝の品を置いて、子供部屋を見て帰って行った 夜になると戸浪が堂嶋正義と安曇勝也と共にやって来た それに続き蔵持善之助と三木繁雄が相賀と加賀と共にやって来た 瑛太が神野と佐野を連れてやって来ると、栗田が愛染や城田と中村と共にやって来た 神楽四季が長瀬匡哉と共にやって来ると、兵藤が安曇貴之を伴ってやって来た 真矢と清四郎は身内席に座って来賓と楽しげに話していた 玲香と清隆、瑛太と京香が席に着くと 榊原が「今日は子供部屋の完成披露祝賀会に来て戴き本当にありがとうございました 細やかながら宴の席を設けましたので、今宵は楽しく皆さんと過ごせたらと思っております 本当にありがとうございました、楽しんで下さい」と礼の言葉を述べた その挨拶を皮切りに食事が始まった 長テーブルの要所要所には慎一が盛り付けした刺し身が美味しそうに置かれ お酒を進ませた 宴会の前に子供部屋を見に行った皆は口々に【良い部屋!】だと感想を述べた その子に合った部屋を目にして戸浪は、我が家も子供部屋を作る時は参考にするか、康太に視てもらおう!と決めた 宴会も盛り上がると、それぞれ気にいった席に移動して話に花を咲かせていた お酒も進みみ酔も回る部屋に、笑い声が響いていた 兵藤は康太の横で飲んでいた 「どうするよ?」 「解ってんよ!近いうちに動く」とだけ言った それを聞くと話を変えた 兵藤は「烈の部屋って和室やんか、あれって本人の希望か何かか?」と素朴な疑問を投げかけた 「希望って言うより、定めだな アイツは此れより免許皆伝を取らねぇとならねぇからな 和に親しみ和に生きる生活をする為の部屋だ!」 「あの剣………まさか本物じゃねぇよな?」 魔界に生きる者なら一度は目にする名刀 「本物だぜ!」 「まぢかよ?良く手放したな……」 「血縁だからな」 サラッと言ってのける言葉に兵藤はギョッとした ギョッとする兵藤の膝に、ドスンと烈が座った 兵藤はもう何も聞く事は出来なかった 虎之助が割り込んで烈の背中に乗ろうとする 兵藤は「お前さ、あんまりしつこいと烈に嫌われるぞ?」と虎之助に声を掛けた 「プギャー!」と鳴いて虎之助は兵藤の顔に張り付いた 顔にぬくぬくでモフモフの純毛100%が張り付く 康太は虎之助を兵藤から離すと「めっ!」と怒った ブニャーブニャーと何だか変な鳴き声をあげて虎之助が鳴く 鼻水を垂らして鳴く姿に、笙が虎之助を抱き上げて撫でた 烈は兵藤の顔を見ると不敵に唇の端を吊り上げて嗤った こう言う顔は康太に良く似ていた 「しょーたん とらたん」 烈は手を伸ばして虎之助を受け取ろうとした 笙は虎之助を烈に渡した 康太は烈を見て「弥勒を泣かした……」とだけ伝えた 魔界に生きる者なれば素戔嗚尊の血縁は知っていた そしてその中に人の世に堕ちた神も覚えていた それなら……泣くわな と兵藤は思った 「ゆじゅ!」 烈は相変わらず柚にメロメロだった 「まま、たべりゅの!」 京香から柚を離すと、京香に謂った 京香は烈を撫でて箸を取ると食事を始めた 烈は柚にプリンを食べさせながら 「ゆじゅ、たべたいにょたべられにゃい ちゅらさ わかりゅ?」とボヤきながら食べさせていた その場にいた者達は一斉に烈を見た 烈は気にする事なく 「けっとーち あがりゅとね くどーせんせー おこりゅのね…だから……にーにはいつもがまんよ」 と続けた 柚は烈の頭を撫で撫でしてあげていた 相賀は「烈の哀愁漂う言葉は?何なんですか?」と側にいた慎一に問い掛けた 「烈と翔は食事制限掛かっているのです ですから好きなモノを好きなだけ食べられないのです」と説明した 神野は「血糖値上がると久遠先生に怒られるって言ってましたね?」と可哀想になり聞いた 「翔は次代の真贋としておもてなしを受けるので、最高の茶菓子とか和菓子とか持たされて還って来ていたのです それを熱々のお茶好きな烈を伴って食べていたのですが、糖質が高いお菓子ばかり食べていたせいか、学校と幼稚舎の健康診断に引っ掛かってしまったのです 以来定期的に久遠先生の管理の元、食事制限をしているので、好きなモノを好きなだけ食べれる生活じゃないので、ついついあぁやって柚にボヤいてしまうのです」 と説明した だから康太の子は翔や弟を思って、あまりお菓子を食べないのだと痛感した 戸浪も会社に来てくれた時、ケーキを出しても最近は手を付けないから好みが変わったのかと想っていた が、翔や烈が好きなだけ食べられないから我慢しているのだと気付いた 優しい子達だ 兵藤もそう言えば最近、食いしん坊の烈がモノを食べている姿は見てないなっと想った 榊原は烈を呼び「ご飯食べなさい!」と謂った 柚のプリンを全部食べさせると烈は立ち上がり席に付いた 子供達の御膳を見ると 雑穀の混ざったご飯に煮物や胡麻豆腐、御浸しと漬物2枚、そしてお吸い物 まるで精進料理だった 笙の子は大人と同じ御膳だが、康太の子は精進料理みたいな御膳だった 慎一が「翔と烈だけ違うと兄弟が気にするので、全て同じものを用意しております!」と伝えた それでも烈は美味しそうに雑穀ご飯を食べていた 榊原は「今日はお替りして良いですよ 慎一が雑穀ご飯とお吸い物を用意してますからね!」と伝えると烈は嬉しそうに笑った 榊原と康太も食べ始めると、兵藤も食事を始めた 榊原と康太と子供達と同じ御膳だった 榊原は小皿に山盛りの唐揚げを取り分けると、康太の御膳に乗せた そして刺し身も小皿に取り分けて、せっせと世話を焼く ついでに自分と兵藤の御膳にも取り分けた 慎一は食事をしつつ、皆に取り分けていた 榊原は翔と烈の茶碗の中に唐揚げを2つ入れた 烈は瞳を輝かせ父を見上げた 「ヘルシーな油で揚げてるので少しだけならと久遠先生が言ってくれました 最近は数値も安定して頑張ってるから少しなら良いと言ってくれました 頑張りましたね!」 翔も烈も嬉しそうに唐揚げを食べていた 安曇も堂嶋も三木も解散間近の政治の事も何もかも忘れて、美味しい料理と旨い酒に舌鼓を打って楽しんでいた 相賀も神野も加賀もコロナ禍の芸能界の在り方の変化に頭を痛めている現実を忘れて楽しんでいた 神楽も佐野も長瀬も、感染対策も何もかも忘れて今はこのひと時を感じていたかった 戸浪も蔵持も目まぐるしい世界情勢も経営も忘れて楽しい時間を満喫していたかった 話が盛り上がりお酒が進み、笑い声が響き夜は更けて行った この夜、初めて子供達は自分達の部屋で寝る事となった 心配していた烈も一人でちゃんと寝ていて安心だった この日、客人は皆、客間に泊まった 翌朝、お迎えに来て貰ったりして慌ただしく別れを惜しんで戦場である会社へと向かった 朝、客人を見送り子供部屋へ逝くと、子供達は皆起きていた 慎一が子供達の着替を名前を書いた洗濯袋に入れて洗濯を始めていた 翔が慎一に「お風呂、時間を書いて誰が何時に入るか書けるボードが欲しいです」と申し出ていた 共同スペースをより良く過ごす提案を翔は慎一に訴えていたのだ 慎一は「解りました、ならホワイトボードを買って来るので予定を立てて名前を記入出来るようにします!」と予定を立てた 慎一との話を終えると翔は掃除機を取り出して、自分の掃除を始めた 丁寧に自分の部屋に掃除をかける 使い終わると次の部屋に回して、次はワイパーモップをかけた ワイパーモップを隣の部屋に回すと、次は雑巾を絞って来て机や椅子、棚等を雑巾がけした テキパキと朝の掃除を終えると時間割したランドセルを共同スペースに置いて着替えに行った 烈の部屋は畳だから、烈はせっせと雑巾がけをしていた 兄達が自分の掃除を終わらせると、烈の部屋の掃除を手伝っていた 掃除が終わると着替えをして兄達は初等科の制服、烈は幼稚舎の制服を着てバックを肩にかけた 康太はそんな働き者の子供達を見て感心していた 榊原は烈に近づくと、制服を確かめて整えてやった 「どうでした? 一人で寝れましたか?」 「とぅちゃ だいじょうびよ とらたんいるし……でも…といれはにーにおこしたのね」 「にーには怒ってないでしょ?」 烈は頷いた 「怖いと思った日は父でも慎一でも一緒に寝てくれます」 「とぅちゃ……」 烈はそう謂い榊原の手をギュッと握った 全員掃除を終えて支度を済ませると、ハンドセルを持って1階へと移動した 応接間にランドセルを置くと、キッチンに向かい朝食を取る 朝食を食べ始める頃、子供達の世話係の有栖院栗栖がやって来てキッチンで一緒に朝食を取るするのが日課になっていた 栗栖は子供達には英語で会話していた 栗栖との会話は全て英語で他の言葉での会話は禁止となっていた 英語が日常会話になったら次はフランス語の予定だった 慌ただしく朝食を終えると子供達は栗栖の車に乗り込んた 先に初等科へと向かい、5人を下ろすと、次は幼稚舎へ向かい烈を下ろす 先生に烈を引き渡すと、栗栖は飛鳥井の家に戻り帰宅してやる課題の準備に入る 課題をやらせつつ塾に連れて行き、スイミングに通う そして週末は地下のトレニング場でトレニングをする それらの一連の事を栗栖が担っていた 康太と榊原もキッチンに向かい朝食を取る 瑛太がキッチンにやって来て康太を見付けると 「今日は会社に来ますか?」と問い掛けた 「おー!これから出社する予定だぜ?」 「ならば、会議室に役職を召集しますので一緒にお願いします」 「了解!」 先頃、飛鳥井建設は企業でワクチンを打ち、今後の予防対策を打ち出さねばならない状態だった それと新しく入った仕事の案件の相談があるとかで役職全員での会議となっていた 食事を終えると康太と榊原は地下駐車場へと向かい、榊原の車に乗り込んだ 子供達の部屋を作って一安心したい所だが、時代に乗れない企業は今後は生き残る事すら難しくなりそうだ 気を引き締めて逝かねば…… 「伊織、行くとするか!」 「ええ、何処までも君と共に!」 榊原はそう謂い笑った 本当にカッコいい男だ 見る度に惚れてしまう 心が騒ぐ 愛するお前と共に……… 康太と榊原は忙しい現実に向かって走り出した

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