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第47話 安曇家 ❷

安曇勝也は新居に移り生活を始めた 家具や調度品は揃っていたが、生活をするなら、着替えや寝具は必要となるから、安曇は個人秘書を呼び買い物に行った 妻と久し振り………嫌………二人でこうして買い物に行くのは初めてかも知れない 食器も買った 安い食器を揃え、安い寝具を買い、安い服を買った 取り敢えず生活が出来る道具は一通り買った 秘書は「もっと高いのを買われたら?」とか言ったが……… 貴也に預貯金も貴金属も売り払われた今…… 生活する資金は登紀子の個人資産しかなかった 登紀子は笑って商品を見ていた 値段が高いとか安いではなく 「この食器可愛いわね、葵に買って行きましょうか?」と言うのだ 安曇も「良いね、なら貴之にもお揃いで買うと良いよ!」と言い探す 安曇の家のモノは総て捨てるのよ!と言われているから、何一つ取りに行こうとは思わなかった 車のトランクに山のように買い物をして、お布団は夜までに配達して貰う手続きして、スーパーで買物をして帰宅した 登紀子は久し振りに腕をふるい貴之と葵と共に夕飯を食べた 貴之は烈からのラインで「安曇家には資産は一切ないから、無駄遣いしちゃ駄目よ!」と送られて来ているから…… 本当に貴也に資産全部奪われたのだと………痛感した 烈は鳳城に「恵比寿と共にスクラッチの宝くじを買いに行くのよ! その場で削って当座の生活費、当てるのよ!」と謂れ貴之と共に宝くじを買いに行き、スクラッチを削り一等を当てた 当選金はキャリーオーバーが少し前にでてしまい………そんなに高額な金額ではないが、取り敢えず当選金で恵比寿にお酒けを貢ぎ、礼を言い、残りは登紀子に渡した 登紀子は最初、受け取らない雰囲気だが、烈のラインを見せ「当座の生活費です!」と言うと、登紀子は受け取った 登紀子は安曇に「宗右衛門殿を出させてしまったので……あの家の対価では足りないでしょう…… 取り敢えず私の有価証券とか売り一千万作ろうと想っています!」と伝えた 安曇は「それは烈に聞いてから処分した方が良くはないか?受け取って貰える確証がないと………無駄になるからね!」と言った 貴之は「今から飛鳥井は逝けばどうです?烈君が車を借してくれ、鷹司の所へと通っているので、送る事は出来ますよ!」と言う ならば行こう!と皆 貴之の車に乗り飛鳥井へと向かう 飛鳥井記念病院へ着いて電話をかけると………… 康太は『オレ等は今、其処には住んでねぇんだよ!飛鳥井建設まで来てくれよ! そしたら家に案内する! 車は近くのコインパーキングに停めてくれ! そしたら電話してくれ!誰かを呼びに行かせるわ!』と言う 登紀子は「烈はそう言えば家は幾つかあると申してましたね!」と言う 貴之は飛鳥井建設へと車を走らせた そして飛鳥井建設の近くのコインパーキングへ車を停めると、登紀子は電話を入れた 『あー、今迎えに行かせるわ!』と康太が言う 暫くすると聡一郎がお迎えに来てくれた 聡一郎は「それでは一緒に来て下さい!」と言った 聡一郎は会社の近くの保育園の看板が出ているビルへと向かうと、横に周りマンションエントラスに入りIDを翳しエレベーターを呼んだ 聡一郎は「すみませんね、警察署にミサイル落としたので、用心の為あの家を離れたのです!」と言った 安曇は「こう言う家が何軒もあるのかい?」と問い掛けた 聡一郎は「ええ、宗右衛門が用意してくれてますので、我等は離れずに済むならば一緒に暮らしているのです!」と答えた 最上階まで上がり食堂兼応接間へと安曇家族を連れて行く 榊原は「夕飯は食べましたか?」と問い掛けた 安曇は「はい!食べて来ました!」と答えた 登紀子は「宗右衛門殿、貴之に生活費を下さいましたが、本当ならば我等が宗右衛門殿を出させてしまったから………最低でも一千万円はお支払いすへきだと………家族で話し合ったのです!」と言う 烈は「え?要らないわよ!それより貴之、恵比寿連れて行って幾ら出したの?」と問い掛けた 「50万円出ました! 凄いです!やはり神様がいてくれると、こんな凄い金額が出るのですね!」と感激していた 烈は康太と顔を見合わせ 「恵比寿連れて行って………50万……え?安くない恵比寿!」とボヤいた 康太も「恵比寿連れて行ったんだろ?ならば一億軽く行かなかったのか?」とボヤいた 貴之は「いやいや、当時の生活費にはなります!ありがとう御座いました!」と礼を言った 安曇は「本当にお支払いしなくて良いのですか?」と尋ねた 烈は「要らないわよ!正式に依頼して来たならば最低で一千万円は貰うわよ! 母しゃんなら三千万位請求されるからね ボクってリーズナブルな奴なのよ!」と言う 康太は「いやいや、宗右衛門の占いは1枚が百万だから、毎月幾ら稼いでますの?って感じだろ?」とイチャモンに近い事を言う 「其れを言うなら母しゃんは真贋のお仕事一本、数千万円じゃないのさ!」 榊原が指をポキポキ鳴らし 「止めなさい!お尻ペンペンしますよ!」と低い声で言うと黙った 烈は「登紀ちゃん ボクは対価として安曇の家を貰ったから大丈夫なのよ! あ、貴之、多分近い内に獅童はご機嫌最悪になるから!」と告げる 貴之は「え?それはどう言う意味ですか?」と問い掛けた 「あのね、あの安曇の家は人を喰う家なのよ しかも貴也が毒吐きまくって、かなり闇に染まったから、怨霊を増長させているのよ だからあの家は祓わないと解体さえ出来ないのよ で、その祓い屋は鷹司のお家芸なのよ! 怨霊と闘う訳だから、そりゃご機嫌悪くもなるわよ!」 そうニコニコと謂れ………貴之は言葉をなくしていた 「なんだってあぁも家に根を生やし怨霊となったのやら……レイたんの水でも効かないから、ボクとしてもお手上げよ!」 烈が言うと康太が「んなにすげぇのか?」と聞く 烈は立ち上がると母の額に自分の額を重ね、思念を送った 康太は「ぎょぇぇぇぇぇ!」と悲鳴を上げた 「何だよ!それは!」 榊原が心配そうに康太を抱き寄せるから、烈は父の額に自分の額を引っ付け思念を送った 榊原も「うっ!!!何ですか!此れは!」と叫んだ 一生が心配そうに見ていたから、烈は一生の額に自分の額をくっつけ思念を送った やはり一生も「ぎぇぇぇぇぇ!何だよ!それは!気持ち悪い!!!」と叫んだ 烈は「だから怨霊よ、家族の愛や情、総ての感情を喰って大きく肥大して行ったのよ 其の内………傍を通っただけでも、誘い込み食い始めるから、今 鷹司総動員で押さえ付けている頃よ!鷹司でどうにもならないなら神楽と真使魔に出て貰わねばならないのよ………」とボヤく 康太が「真嶋と神楽はオレが頼んでやる! それで足らねぇならばオレが責任持って焼き捨ててやんよ! 本当ならば安曇総太郎が死した時に、更地にしてやれば良かったと………悔やんでいたんだよ! まぁ………家が人を喰うなんて宗右衛門にしか詠めねぇ話だけどな……」と言う 烈は「そう言う事だから既に対価は貰ってるから、気にしないでね! まぁ一千万貰ったとしても……家の中の総ての穢れを祓い、綺麗にしなきゃだから一千万じゃ足らないわよ! でも放っておけないからね、責任持って安曇総太郎の怨霊は祓うと決めているのよ!」と言う 登紀子は「何から何まで申し訳ないです!」と謝罪した 「気にしないで登紀ちゃん、ならさまたお茶を奢ってよ!それでチャラにするわ! まぁ一番大変なのはボクじゃなく獅童だから! あの骨董バカには安曇総太郎のコレクションの一部を託すと誘き出してるから大丈夫よ! 骨董品の為ならば怨霊なんて何のその! それは頑張るんじゃないかしら?」 と悪どく嗤う 康太は「んとにおめぇは悪どくヤツだよ!」と呆れて言う 「酷いわね!ボクは天使の様に清らかなのに!」 「其れを言うならオレだって清らかだぜ!」 「いいや、母しゃんは悪どい鬼よ!」 「いいや、お前は本当に腹黒い!」 とまた喧嘩を始めるから 榊原が「本当にお尻ペンペンされたいようですね!」と言う 烈は「ごめんにゃさい!父しゃん!」と謝る 康太も「済まねぇ!伊織!」と謝った 登紀子も安曇も仲の良い親子を見て目尻が下がっていた 登紀子は「ならお茶しましょうね今度!レイ君達も翔君達も皆でお茶しましょうね!」と言う 榊原は「もう夜も遅いので泊まって行ったらどうですか?」と問い掛けた 安曇は「いいえ、本当に世話になったのに、これ以上は………御迷惑かけられないので……」と遠慮した 康太は「葵も辛いだろうし、此処も客間があるから泊まって逝けよ!」と言うと、安曇は泊まる事にした 大きな客間にお布団を敷いた 真ん中で襖を締めてゆったり寝てもらう 皆 自分の部屋へと寝に戻り、康太と榊原も部屋へと行った 榊原は「本当に安曇の家、赤字が出る程なのですか?」と問い掛けた 「だろ?怨霊だからな鷹司総動員でならば、一千万じゃ済まないだろ? 鷹司だってタダでは仕事しねぇだろうからな でも、それをしてでも尚、勝算があるから譲渡して貰ったんだろ? でなくば、有栖院家の邸宅貸したりしねぇだろ? まぁ何にしろ………貴之も妻を娶り腹を括った顔してるかんな! あの変わりようは流石は宗右衛門だなって感心したな!」 「政治家にはなれそうですか?」 「今 烈が叩き込んでるから、結構厄介な政治屋にはなるだろうさ! 国会の討論会とか盛り上がるだろうな! んとに……そんな明日が来るならば………… オレの視た果て以上の出来となるさ!」 康太は果てを視て言葉を紡ぐ 榊原は康太を強く抱き締めた 愛する妻を抱き締め口吻た そして熱く蕩ける夜は始まる 康太と榊原が熱い夜を迎えている頃 安曇は登紀子と何時になく話をしていた 心の澱を吐き出すように………想いを語る それを襖の向こうで貴之は聞いて泣いていた 鳳城は夫を優しく抱き締めた 安曇家と言う家族が今やっとカタを成して、動き始めた 

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