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第60話 Xmasイベント当日

朝早く一生と慎一が菩提寺を訪れた 一生は拓美と拓人をご指名して連れ出した 慎一は敦之と貴教を連れて菩提寺を後にした 拓美と拓人は「「何処へ行くのですか?」」と問い掛けた 一生は笑って「お前等に最高の贈り物を、との事だ!で、お前等を連れてエステに行きスーツに着替えさせねぇとならねぇからな、さぁ黙って俺に着いて来い! 俺は烈に託されたミッションを完遂せねばならねぇんだならな!」と迫力で言う 拓美と拓人は黙って………頷いた その頃、敦之と貴教も慎一に連れ出され車に乗っていた 敦之は「何処へ行くのですか?」と問い掛けた 貴教は黙って窓の外を眺めていた 慎一は「俺は烈に頼まれたので、このミッション完遂の為黙って着いて来て下さいね!」と謂う 烈に頼まれた………その言葉で敦之は理解して黙った 慎一は「まずは飛鳥井へ行き全身磨きます! 大丈夫です、飛鳥井には翔達が待ってますから、きっと彼等が磨き上げてくれます!」と謂う そして車は飛鳥井記念病院へと向かう 敦之は「磨き上げる?」と呟く 貴教は「兄さん達総出で?」と呟いた 飛鳥井記念病院の立体駐車場一階に車を停めると、慎一は二人を連れて飛鳥井の家へ還った 玄関開けたら翔達が待ち構えていた 流生は「来たね!」 太陽が「さぁ行くよ!」と手を掴む 大空が「烈に頼まれてるからね、早くするよ!」と言い急ぐ 音弥が「スーツ用意して来るよ!」と謂うと 翔が「なら下着と靴下、用意して来るね!」と走る 兄達はそれぞれ役割分担して走った 敦之と貴教は「「え?え?え?え?」」と何が何だか解らなくて成すが儘だった お風呂場へ連れて行かれゴシゴシ、キュッキュと洗われる 自分で洗えるよ………と謂うのを「駄目!」と迫力で制され洗われる 磨きあげると泡を流し湯船に押し込む ついでに自分の体も洗い湯船に入る お湯は………何だか……トロトロだった 「この湯はね、ヒアルロン酸よ!」と謂う ヒアルロン酸!!何故に!! 「ヒアルロン酸はお肌に良いのよ!」 と謂れ………お肌……と言葉をなくしていた そう言えば魔界のお風呂は硫黄臭いお風呂だったな………と想う 鬼達も一緒に入り疲れを癒していたな………と何も無い世界ではお風呂は最高の癒しだったな そんな事を想いながらお風呂に浸かっていると、湯船から出てお湯でベタつきを流して、体を拭く すると隼人と聡一郎が待ち構えていた 腰にタオル巻いただけで連れて行かれ、美容師に髪をセットさせる 何かツルツルのピカピカになって髪までセットされた 髪のセットが終わるとスーツに着せ替えさせられた 隼人が「このスーツはオレ様と聡一郎のプレゼントなのだ!」と謂う 聡一郎は「知り合い割引でデービッドに頼み、トンプソンのスーツを作ったんだよ! 君達もこの先、スーツを着る機会は沢山在るだろうからね 良いのを新調したんだよ!」と謂う 敦之と貴教は「「有難う御座いました!!」」と礼を述べた 昔からは信じられない礼儀正しさだった 顔も………前に見た時と違っていた 貴教は安曇にソックリで、敦之は三木淳夫にソックリの顔になっていた DNAの解る顔だなぁ……と想う まぁ烈もDNAの解る顔をしている………… あの顔は人になったとしても受け継がれし顔なのだ スーツに着替えると慎一は聡一郎と隼人と共に菩提寺へと出向いた 菩提寺へ逝くと貴也がスーツを着て待っていた 城之内は「おー!貴也の支度は万端だ!」と謂う 貴教は兄の存在に唖然となっていた 翔が「今夜は東京ドームで【R&R】のイベントがあるので行くんです!」とやっと行先を告げた 流生が「お昼過ぎにバスが来るらしいから、お昼食べちゃわなきゃ!」と保養施設3階へ上がり、お弁当を取りに行く この日の為にお弁当を注文したのだった 皆で手分けしてテーブルを並べたり、テーブルを拭いたり、お茶を淹れに行ったりお昼の準備をする そして準備が整うとお弁当を食べ始めた 聡一郎が「スーツ汚さない様にね!」と注意する この日の為に、翔達もスーツを着ていた 関係者席に座るのだ ちゃんとした服装で行こうと話し合ったのだ そして昼を取り、片付けるとお迎えのバスが来て、皆て乗り込み東京ドームへ向かう 貴也は貴教と同じ席に座った 貴教は「兄さんは今、菩提寺にいるのですか?」と尋ねた 貴也は「そうだよ、一年位は菩提寺で生活すると言われているからね!」と静かに話す 貴教も雰囲気が変わったが、兄である貴也は凄い雰囲気が変わっていた 顔も……何だか見知らぬ人の様だった だが兄弟だった この体には同じ血が流れているのだと知る 貴也は「鷹司の書生になるんだろ?ならば僕は鷹司に教えを受けに行ってるから、また会えるね!」と微かに笑みを浮かべ謂う 貴教は「まだ少しムキムキ度が足らないって言われてるんだよ! 何でも鷹司の書生に入るなら、凶器の様な資料や書物持たないと逝けないらしいからね……」と哀しげに謂う 貴也は鷹司の教室での凶器の様な書物を思い描き 「あぁ、アレは凶器だね、足に落ちて……動けずに蹲るのに、先生ったら早く立たんか!と謂うからね………あの人は血も涙もない人だよ 流石宗右衛門の腐れ縁だと申される方だよ!」 「え!兄さんも凶器の書物の犠牲になられたんですね………」 「小指、折れてて、久遠先生にカルシュウムが足らねぇんだよ!牛乳飲みやがれ!と怒られたよ!」 「え!!骨折………敦之………僕等カルシュウム足りてるかな?」 貴教が呟くと敦之は「そもそも魚ないじゃない!あの世界は!カルシュウム足らないよ!きっと!!」と叫んだ 貴也は笑っていた 大空がドウドウと落ち着かせ、背中を擦った 太陽は「小遣いでカルシュウムのサプリ買ってあげるから落ち着こう!」と謂うと聡一郎は爆笑した バスの中は楽しい笑い声が響いていた 東京ドームに着くと、スタッフに誘導され関係者用の通路を通って、関係者用の座席に案内された 飛鳥井の兄達は既に清隆や玲香、瑛太家族、聡一郎達、康太と榊原やちっこいの達や北斗達が座ってる横に座った 康太は「お使いご苦労さま!」と謂うと兄達は嬉しそうに笑った 貴也と貴教は違う席に座らされた 敦之も別の場所に座らされた 空席でポツンと座っていると、横に誰かが座った 貴教と敦之は唖然として……隣に座った人を見た 貴教の横に座った人は……安曇勝也 登紀子夫妻と貴之夫妻だった 敦之の横に座った人は………三木繁雄と智美夫妻と敦之の兄弟達だった 繁雄は「お帰り!」と謂うと敦之は涙が零れそうになった………… 智美も窶れた顔をした我が子の頬に手をあて……… 言葉もなく我が子を見た 敦之が何が喋ろうとすると繁雄は 「今は何も言わなくて良い! 今日は竜馬の………嫌、【R&R】のイベントを見に来たんだからね!」と謂う 敦之は両親の優しさに触れ………兄弟と会い…何だか照れ臭くて………それでいて嬉しかった それは貴教も同じだった 貴教は勝也に「父さん……」と声を掛けた 勝也はニッコリ笑い 「此れは烈がくれた最高の贈り物なんだよ」 と一言だけ呟いた 隣の登紀子は静かに頷いた その時 花火一発打上げられ【R&R】のイベントは始まった 烈は客席に向かい 「I present to you the greatest gift of all.」と叫んだ 一方、一生に連れ出された拓美と拓人は、都内のエステ店へ連れていた 着くなりスタッフの手により全身磨き上げられていた え?え?え?え!!!! 驚き放心状態のままエステが終わると、伸び放題の髪を美容室へ行き整え貰う そしてセットが終わると、奥の部屋に行きスーツに着替えさせられた 身なりが整うと二人は東京ドームへ向かう車に押し込められた 東京ドームへ着くと関係者パスを使いスタッフに二人を託した 一生はそれでミッション終了で関係者席へと移動して行った スタッフに引き渡された拓美と拓人は用意された個室に入れられ時間まで待機させられ…… 時間になると大きな箱に入れられ、フォークリフトで運ばれたのだった 箱に入れられた時には……チビる程に怖かった ……が、神の道を通るよりはマシだと自分を落ち着けていた 何が起こるのか? 解らないけど、魔界で……嫌、地獄で過ごした過酷な日々以上に過酷な場所など有りはしない そう想うと、何だか不思議に落ち着いた そして迎える最高の贈り物に二人はなるのだった

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