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「無意識が語る素直ほど可愛いものはない」

   ここで一つ言い忘れていたことがある。  それは俺と王司が付き合う前。 〝寮の部屋以外、喋りかけてくるな〟という話。  さすがにもうそれはないけどな。  付き合ってるんだから、それなりの覚悟を持って一緒に登下校したり学食で飯を食ったり、休み時間になれば一緒に過ごしたりと俺の中で恋人らしいものを送っている。  バカでかい学校は二学年だけで9組もあり、他に授業で使う教室を含めてその階だけじゃおさまらず、1組から4組は三階で5組から9組までは四階とわけられるほどだ。  一学年は11組もあるからな。  三学年にかんしては興味ないから知らねぇけど。  そんな俺は3組の三階で、王司は7組の四階だ。  みんなの王子様である王司と、俺。  言わなくても察してほしい関係性に覚悟を持ってみるが――王司とはそもそも校内で会わないのが現状だったりする。  だからといって不満があるとかではない。  寮に戻ればたいてい部屋にいる王司はすぐに喋ってきたり俺の自室にまでついてきたりと。俺も俺で話したりするから、不満不安など全くない。  では、なぜこんな語りに近いものをツラツラ並べているかというと、 「智志君、柔らかい」 「……」 「智志は運動苦手だもんな」 「……」 「おぉ、中沢ほんと柔らけぇな」 「……」  中庭のベンチに座る隣には王司がいて、その目の前には平三。  それでいてベンチの後ろで背もたれ部分に手をついてる木下に、ファイルを数冊持ってて呆れる様子のまま立ちっぱなしの会長様が、いるからだ。  顔が良過ぎる男達に囲まれてるのは、平凡であまり喋らない俺。  注目度がハンパなくて焦ってんだよ。  気を紛らわそうと別の考えをしないとやっていけない状況なんだよ。……あまり考えてる事と今起きてることの変わりはないんだけどな。  王司は右腕、木下は左腕。  そんな二人は俺の二の腕を触りまくっている。  最初は平三が制服のシャツ越しで触ってきて『意外と筋肉――あ、なかったわ』とふざけた事を言ってきたから、それに合わせて嫌味ったらしい言葉を返していたんだ。  9月の終わりに差し掛かってきた。  しかしながら今日は昨日と打って変って暑さが戻ってきたようにブレザーなしでも過ごせる一日になっている。  そこで俺が着ていたブレザーは教室に置いてきて、平三と木下の三人でベンチに座って喋っていたんだが――急になぁ……平三らしくない行動にちょっと驚いたが、柔らかいってなんだよ。  力を入れてないからそう思うだけだろう、と俺はあとからムキになってグッと力こぶを作ってみたがやっぱり平三が思うもっこり加減にならなかったらしく、普通に笑われた。  ならば木下はどうなんだ。  男同士の漫画小説ばかり読み漁ってて若干引きこもってるこいつも笑えるぐらいの筋量だろうよ。 「俺もこのぐらいだなー」 「……」  そう思っていたのに、世の中は不公平だ。  俺、なんでこいつ等と仲が良いんだろう。  男としてのショックに手で顔を覆いながら無言でいたら、王司と会長様がこっちにやって来たんだ。  生徒会長とその副会長だ。  ならばもう一人、俺の中で危ない警報を鳴らす三学年の一人――会計を務めている飯塚(いいづか) 友樹(ともき)先輩もいるんじゃないか?――と周りに目をやってみる。  いなかったんだけど。……どうして警報が鳴るかは聞かないでくれ。  会長様に今までの流れを説明する平三はベンチから立ち上がりながらもまだ腹抱えて笑っている。  ちょっとしつこ過ぎないか?と思っている隙に王司がベンチに座ってきて俺の二の腕を触り、木下もついでとばかりにまだ触っていなかったせいで遠慮なく掴んできたのだ。  二人から言われて、フォローにもなってない平三の言葉も返せず、気付いたらイケメンばかり集っていた。  ホモ校みたいなものだから、変に目立ちたくないんだよ。  俺自身が。 「柔らかいというよりはお前等より筋肉がついてないだけで、実際そこまで柔らかくないだろうが」 「いや会長様も触ってみ?中沢の細さと白さと、柔らかさを感じてみ?」  珍しくも俺にちゃんとしたフォローをくれたのはまだ腕を触ってない会長様。  いや、触ってほしくもないんだが、その言葉に一瞬でも信頼を寄せるなにかを感じ取った。――が、やっぱり突き落とされる感覚に似た聞こえは木下くそ野郎。  こいつまだ触ってくるんだけど。本当になんなんだ。いい加減に振り落そう。 「もう触んな」 「あ、」 「中沢様がお怒りだ……」  誰のせいだよ。  安い煽りを買うほど俺はアホじゃないぞ。  それでいて王司も惜しそうな声を出すんじゃない。  余計にイラついて殴りそうになるから。  こんな空間になんとなく耐えきれなくなってきた俺はポケットに入っているスマホを取り出して時間確認をすると、午後の授業が始まる5分前だった。  解放される。 「俺、教室戻るけど」  ベンチから立って顔が良過ぎる中から、ひょっと出た俺は同じクラスである平三と木下中心にあまり逆らいたくない会長様と、恋人相手である王司に伝える。 「……そうだな、俺は生徒会室に向かうが」  腕時計をしていた会長様は時間を再び確認して口にした。  なんでだよ、授業があるはずなのにどうして生徒会室に行くんだよ。  というか、会長様が生徒会室に行くなら王司もそうなのか?  この二人ならなにしても教師達に許されそうだから怖いよな。 「じゃあ教室に戻るか」  俺の表情に気付いたのか、それとも単に今の流れだったのかはわからないが平三は苦笑いを浮かべている。  王司は王司で二の腕を触った手を見たままで会長様は興味なんて示さずファイルの中身をチェック。  無駄に煽ってきてた木下はなにか考え事をしてるようで小さく『んー……』と口にしては首を曲げていた。  どうだっていい。  俺に筋肉があろうがなかろうが日常において周りに迷惑なんぞかけてないんだから。  は? プライド?  んなもん、もうねぇよ! 「智志もそんな顔すんなって、」 「うっせ、平三が始まりだっつの」  慰めに入ってきた平三だが俺は勝手に歩き始めて教室へ向かおうとした。  夏休みが終わってからどうも俺はキレやすくなってるような気がする。――王司の顔、殴ってからかな。  陽が射す午後、昼飯を食ったせいか眠気も増す。  今の俺にそんな余裕ないけどさ。  あー、くそ。  そんなにないか。  筋肉というものが。 「……」  一人勝手に歩く先で左の腕を曲げては拳を作る。  骨が出っ張ってて、焼けにくい内側の腕の白さが目立つのみ。……拳骨にはききそうな手だけど。 「なぁ!中沢、松村ぁ!」  不意に、木下に呼ばれた。  どんな俺でもそこは無視することが出来ず、足を止めて振り返れば平三も同じく振り返って木下を見ていた。  王司も会長様も、急な呼び掛けに驚いたのかなんなのか木下に顔を向けている。  なんだ、今度はなんなんだ。 「俺達のクラスは自習なんだからサボらないか?」  ……は? 「それでもって会長様と副会長様が向かう生徒会室に行こう!あぁ、そうしよう!」  急にテンションが上がった木下は背を伸ばし、満面の笑顔。  木下のあらゆるものについていけない時もあったが……今の提案もついていけないわ。  確実にあいつ等と10メートルは離れているはずなのに、ここから見ても目がキラキラ輝いてるんだけど。 「……あいつどうしたんだ?」 「……さぁ?なにかあるんじゃないの?」  呆れて平三に聞いてみるものの平三も呆れてるみたいだからなにも答えが返ってこない。  意図が通じなかった俺達に木下は呆れたような顔で近付いてきては背中を押されて、また嫌な思いをしたベンチに戻ってきてしまった。  そこで休み時間の終了を告げるチャイムが校内に響き渡る。  休み時間が終わったじゃないか。  どうすんだよ、今から教室なんか行っても目立つだけだぞ。  いくら男だらけな学校で自由気ままな自習でも目立つんだぞ。  王司と一緒にいるところを見られるよりキツいと思うのは、ただ王司といる時の視線に耐える気持ちが出来たからだ。  個人で、俺だけが目立つという忍耐はまだまだ全然慣れてないから。  教室に戻れなくなったじゃないか。 「バカめ、関係者以外出入り禁止だ」  そこで口を開いたのは眉間にシワを寄せながらウザそうに言う会長様。  そういやそうだったかもなぁ?  なんて曖昧過ぎる生徒会の決まりにやっぱり興味がない俺は立っている事しか出来ない。 「じゃあ用事を作ればいいんだな?」 「そういう問題じゃねぇよ」 「……奥さんである平三くんは招いてるくせにぃ」 「……」  え、会長様そこ黙るのかよ。  おかしいだろ……図星つかれたからって会長様なら木下ぐらい倒せるだろ!?  いや、いいけどな。  俺には全く関係ないことであり、生徒会室なんて行ったところで楽しいか楽しくないかといったらきっと楽しくないだろうよ。 「どんな理由にするか……あ、部活申請?もちろん作る気はないけどなぁ」 「潰すぞ。余計な仕事増やすな」  後ろで平三が『俺を巻き込むなよ……』と小声で言っていたのを耳にしながら、木下は生徒会室に向かっているのか歩きだしてしまった。  続くように会長様と平三もついて行ってるし……。  わけがわからん。  が、さっきも述べたように俺だけ教室に行くのも気が乗らなくなっている。  どうしよう。屋上前の階段踊り場で過ごすか? 「智志君、自習だったんだ」 「……らしいなぁ」  ――王司と二人か。  実を言うと、自習だった事なんて頭から抜けていた。  わかってたら早々に教室へ戻ろうとしなかったっつの。  それこそもう一つの穴場である空き教室に移動してサボりに賛成していたかもしれない。  けど筋肉について言われたから。  別になにも思うことはなかったがを連呼されたら、いくら気にしない俺でも少しは考えるわ。  あんな総攻撃みたいに言われたら考えるからな。……いや、だからといって鍛えようとは思わないけどさ。  あー、でもしょうがない。  ここにずっといたってしょうがない。  俺の中で結構な注目度があった周りも今は誰もいなくて、誰にも見られていない。  面倒な事が起きそうで起きないからいいんだけど。 「はぁ……あの二人、本当に生徒会室行ったのか?行くだけ行ってみるか……」  木下の行動はこの際放っておこう。  ただ平三も素直について行ったのは、会長様が先に行ったからなのか?  どちらにしても平三と木下のよくわからないノリに手をポケットに突っ込みながら生徒会室へ向かおうと、見えなくなった三人の姿を目で追う。 「智志君、」  くい、と腕まくりをしているシャツの袖を王司に引っ張られる。 「あ?」 「手、繋ごう?というか繋ぎたい」  ベンチに座っていた王司は、そう言いながら立ち上がる。  172センチの俺にたいして180センチ越えの王子様を見上げる形となるが、これももう慣れた。  腹立たしいことだが、慣れた。  無意味にムカついてもしかたがないと学んだよ。 「……」 「俺、さとしくんと手ぇ繋ぎたい。せっかく学校でも喋っていい事になったんだから、もっともっと智志くんと一緒にいたい。智志君と、触れたい」  目は、どこを見てんだろうな。  合わない視線に俺は王司の顔をガン見するだけ。  掴まれてる袖は変わらず、むしろ力入ったか?  繋ぎたい手の他になにを伝えたいのかわからずにいる。  まぁ、たぶん他に伝えたい事なんてないんだろうけど。  どこか付き合う前の俺を意識しているらしく、たまにみんながいるなかで『中沢君』と呼ばれる時がある。  ベタベタしてこないのを見て俺がなにか言うと思っているんだろうな。  もうそんな事しないのに。  けど、王司にはなにも言わない。  俺を中沢君と呼ぼうが、触れたくても触れられずに戸惑う姿を見ようが、俺にはどうも感じれないものだ。  今のこの俺を見てどう判断するか、それは王司 雅也の意思にあるからな。 「十分に触ってきてると思うんだけどな?」  掴まれてる袖の手を離す俺。 「あっ……も、っと、は?」  離れて惜しそうな表情をする王司。  こういうところで可愛いと思うのは甘やかし過ぎか、調子に乗るか。  それとも、素直に受け取るだけか。 「どーぞ」  差し伸べた手に王司はすぐ反応して、下からガシッと勢いよく指まで絡めてきた。  やっぱこいつのがっつき方はハンパないな。 「でも雅也、そろそろ行かねぇとあいつ等も――「ねぇ、」  繋ぐ手を嬉しそうに見ている、ように、見える王司に思い出した平三達のことを伝えようとする。  だがここで、王司に言葉を遮られて最後まで言えなかった。 「俺達は別の場所に行こうか。俺は生徒会で特別やることがなかったし、今さら授業に戻ったってしかたがない。智志君はサボる気満々だよね?」  ちゅっ、と手の甲にキスしてきて緩んでいる口元から出た言葉は、王司にしては珍しい強引な口調。  どっちにしても教室に戻る選択がなかった俺は口で返事する前に頷いといた。     *    *    * 「え、なんでお前……それ、」  繋いだままの手で引っ張られながらついて行くと、上るのぼる、どんどん階段をのぼる。  一階から最上階まで一気に行けば少しぐらい疲れも出るのは当たり前だろうよ。  かといって息切れまでしなくとも伸びた足の筋肉を使った感じは残る。  最上階、ということは学校なんて一つしかない。  辿り着いた場所に王司は鍵を取り出して、ドアノブへ差し込んだ。 「俺も鍵を貰えたんだ。使い道なんてないと思ったけど、智志君とこういう機会が出来て嬉しいな」 「勝手に嬉しがるな。あと勝手に使うな」 「そうだね」  絶対に反省してないな。  王司に連れて来られたのは校内の最上階。  万全に鍵をかけられてて、生徒が入れずにいた――屋上へ連れて来られたのだ。  ゆっくりドアを開けて先に向かわせてくれた王司に俺はなにも言わず足を踏み入れると、中庭のベンチとは違って風もあり、肌寒い。  初デビューの屋上か……天気も良いせいか気持ちが良いな。 「智志君こっち」  引かれるがままに入ってきたドアのすぐ隣にあるプレハブ壁に座る王司はまるで、隣に座れと言うように地をポンポン、と叩く。 「こんなかってなに入ってんの?」 「俺が見た時はブルーシートばかりだったなぁ。あとは脚立とか」 「へぇ、使う時あるのか?」 「わかんない」  しかし座らない俺は屋上に興味津々と辺りを見渡しては王司に聞いたり眺めのいい立ち位置を探したりと忙しない行動に呆れかけてきてる。  俺が俺に呆れるとか相当だな……でも初めての屋上だし。 「智志君、」  ブレザー持ってればよかった。  夏とはまた違う風のふきかたにぶるっと体が震える。 「智志くん、」  でもこんなところに連れて来られるなんて思ってなかったし、先読みなんて高度な技を使えるわけないから耐えるしかないのかもな。 「さとしくん、おねがい、」 「なんだよ、さっきから」  ウザいほどずっと俺の名前を呼んでくる王司に目を向けた俺は返事という返事を口にした。  それがよほど嬉しかったのか王司は輝く笑顔で、だけどどこか裏のある表情に身構える。 「ここ、やっぱりここに座って?智志くんの重さをまた感じ取りたい!」  そう言って地を叩いていたもう片方の手は、膝上に変わっていた。  ぎゅっ、と握られる手は逃がさないように固定されてるみたいだ。  痛いのが好きで怒られる方法しか考えてないくせに、こういう雰囲気作りが出来るから厄介だと思う。  まぁ、だいたいぶち壊されるけどな。――なんだ、重さを感じたいとは。  打ってしまう舌。  同時に目を逸らせば王司はなぜか喜び、また俺の名前を呼ぶ。 「智志君」  そして腕を掴まれては勢いよく引っ張られ、転びそうになったところでいつの間にか王司の膝上に跨っていた。  なんなんだ、こいつ。 「初めてだね、サボりとか」 「はあ……」  たぶんこれは王司と俺が一緒にサボることをさしているんだろうな。  俺は平三と木下でサボれる時はサボってるし、勉強でわからないところがあったらそれこそ木下に聞いたり、平三のノートを写したりと。  普通の成績をとどめているから問題はない。  あとは今日みたいな自習の時間が多いな、サボりは。 「もしかして、それで強引なところを発揮してるのか?雅也くーん?」 「んん、ちょっとだけ」  座ったからにはしかたがあるまい。  退かずにいようじゃねぇか。  壁に背をつけて足を伸ばす王司の上に俺が跨ってはバシッ、と両頬を手で挟むように叩いた。  叩いたと言ってもそんなに強くないぞ。  それでも嫌がらずにすり寄って来る王司も王司だが、まぁいいか。 「嬉しいか」 「嬉しいよ」 「単純だな。そこだけバカだな」 「智志くん相手ならなんでも嬉しいよ」  むにゅむにゅなんて音が鳴りそうな柔らかい頬をこねくり回す。  顔、崩れてるはずなのにどうも思えないからウザいな。  イケメンって、得だな。  王司にブサイクの希望とか、もう望んでないけど。  無理だ。こいつをドン引きするほど顔を崩すなんて、無理なことなんだ。  あ、でも別の意味でドン引きする時はあるが……あれは顔というより、言動だもんな。 「べつに、そこまで俺中心じゃなくてもいいと思うけどなぁ……」 「……ん?智志君?」  口を開くたびに俺の名前を呼ばなきゃ死ぬ病気じゃないのに呼び過ぎなんだけど。  両頬を挟んでこねくり回していた俺の手。  その手を肩から下へ滑らすように動かせば、たどりつく場所があった。  迷いなく、ガッと掴んだ、 二 の 腕 。 「……わかってたけどさ!」 「智志君のはいつまでも触りたくなるようなものだった!」 「嬉しくねぇよっ」 「け、ホ……っ」  調子に乗ってきた王司に胸元を殴っといた俺は再び二の腕を掴む。  きっとこれが男の中でも憧れる、理想の腕なんだろうよ。  鍛えすぎてないここは硬すぎず、だけど頼れそうなもの。  意外と気にしていたらしい俺も俺だけど。 「外見だけは本当に王子様のくせして中身の王子様は期待を裏切るから恐ろしいな」 「んん?智志君だけのになれればいいよ」 「……甘いんだよ、くそったれ」  突然くる言葉は俺みたいに慣れてない人間が聞くとおかしくなる。  こう、どう返せばいいのかわからなくなるというか……しかも男だろ?  それとドM。  どんなに攻撃してもメンタルが強過ぎて折れる事を知らない相手だ。  どうにも出来ない、どうにも処理出来ない相手。  だから諦めてそのまま突き通す俺はさらに王司からどんどん好かれてるということにも気付かず、サボりを続ける。 「あ、今日はピーマンの肉詰めな」 「っ、楽しみにしてる……手伝おうか?」 「その前にひき肉買わねぇと」  いつの間にか耳たぶに爪を立てて、抓るという王司が喜びそうな行動をしていたのは危ないのかもしれない。  

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