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〈番外編〉 訪問者 10【淳也と李玖】
「ねえ、藤代さま、この世のものとは思えないくらいの気持ちいい体験、してみたくありません?」
「この世のものとは思えない?」
「ええ。普通の発情期も気持ちいいですけど、運命の番との発情期 は格別らしいですね。虜になって止められないとか。きっとそれと同じくらいの快楽ですよ」
「そりぁ僕も男だから気持ちいい事には興味あるよ。でもどうやって?」
へえ、やっぱり稀少種でも興味あるんだ。ふふっ。
「僕のうちに代々受け継がれる秘薬があるんです。藤代様にならお分けしますよ。でもお相手は僕にしてください」
「それを使って淳也くんと発情期 を一緒に過ごすって事かな。そんなことをしたら淳也くんの彼氏達に恨まれちゃうよ」
彼氏達とは発情期 の相手をしてきた奴らの事か、あわよくばのワンチャンを狙うハイエナどもか。
「彼らとはギブアンドテイクですよ。お互い気持ちいいひと時を共有するだけの関係。でも藤代様は別。貴方が選ぶなら、僕を全てあげてもいい。ねえ藤代さま、僕と一緒に発情期 を過ごしてみて。悪い話じゃないでしょ。エステもエクササイズも欠かしたことのない僕のボディは、美と健康の総合商社、天沼商会が作り上げた最高傑作ですよ。ねえ見て。このシルクの肌もウエストのくびれも胸の尖りも、きっと気に入る。この体で誰にも連れて行けない天国へ連れて行くから、綾音さまは止めて僕を選んで下さいよ」
発情期 は生理現象でアイツらは唯の性欲処理係だ。まあ腐ってもα、充分利用させてもらったけどね。
だけどこの体は僕が認めた世界一の男にしか渡さない。貴方が僕を選ぶならもう誰にも指一本触れさせないよ。神が寄越したこのボディを貪り、他では味わえない快楽を味わえるのも貴方だけ。
貴方が僕の体に夢中になってる間に僕は貴方を搦め捕り、羽をもぐけどね──
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