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〈番外編〉 訪問者 11【淳也と李玖】

薬は二本で一セットになっている。片方を相手に飲ませ、もう一本を自分が飲む。すると二人の間には恋が芽生え、離れられなくなるという代物だ。 僕?もちろん僕も愛するよ。今でも愛してる。藤代李玖のコネもカリスマ性も大好きさ。 幸いこのマンションの管理人はお人好しだ、きっと次に来た時も先輩を慕う後輩を装えばマンションに入れてくれるだろう。 発情期直前に潜り込み部屋の前で待っていた僕が急にヒート状態になったなら、優しい藤代さまは放っておけず部屋に招いて抑制剤で応急処置をしようとする筈だ。その準備をするあいだに僕の濃厚なフェロモンで体を誘惑してあげる。ダメ押しに快楽のお試しって唆すけど、ゴメンね、それは本番なんだ。 一生快楽漬けにしてあげる。天沼商会の人柱にする為に、長い長い快楽地獄に落としてあげる。 「ねえ李玖さま、もし僕が急にピンチになったら助けて下さいね。大丈夫、それくらいで纏わりついたりしませんから」 纏わりつくのは貴方だもの。早く僕に堕ちてきて。 ふふ、次の発情期(ヒート)が楽しみだ。 【淳也と李玖・了】

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