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第14話 運命の鎖
服を脱いだ先輩が、仰向けに寝ている僕をギュッと抱きしめ、顔中にキスをしてくれてる。後ろから回った手は、ときどき頭をいい子いい子してくれて、ぴったりと重なった胸からは先輩の力強い心臓の音がする。
なんて素敵な夢なんだろう。
嬉しくて、フワフワしてて、クスクス笑いが止まらない。
「ふふふ。せんぱい、くすぐったい」
「ふふ。くすぐったいの?晶馬、可愛い」
「ぼくかわいくないよ。ぶさいくだよ。できそこないなんだって」
僕は先輩の周りにいる綺麗な人達を思い出して、悲しくなった。
そうだった。先輩には、あの人達がいる。
「せんぱいもきれいなひとがいい?ぼくいや?」
「晶馬は不細工じゃないよ。凄く可愛い。ああ、どうしてこんなに可愛いんだろう。僕の晶馬が一番可愛い。晶馬、僕の晶馬、可愛い。大好き。愛してる」
僕はビックリした。先輩が僕のこと好きって言った!
「せんぱいぼくのことすきなの?ほんと?ほんとにほんと?どのくらいすき?ちょびっとすき?いっぱいすき?」
「ふふふ。ビックリし過ぎてお目目が落ちそうだよ?好きだから番にしたいんだ。そうだね、晶馬が僕のこと好きなのよりいっぱい好き」
「!!ぼくのすきはすごくいっぱいだよ?それよりもいっぱいってすごくすごくいっぱいだよ」
「そんなにいっぱい僕のこと好きなの?ふふ、嬉しい。でも絶対晶馬の好きよりいっぱいだよ。僕は頑固なんだ、これだけは譲れないな」
嬉しい。嬉しい。先輩大好き。世界がふわふわしてる。嬉しい。
頭にあった先輩の手がうなじから肩甲骨を辿って背中を下ると、背筋がぞわぞわした。先輩の唇はあごを辿って胸のてっぺんをペロリとひと舐めした。
ゾワリ
「?」
何か変な感じがした。何だろ…?
先輩の手が熱く張り詰めた僕の下をそっと握った。
「きゃっ」
驚いたけど嫌じゃなかった筈だった。なのに先輩の手を払いのけてしまった。
「??」
「……。晶馬、この軟膏を使うね。鎮痛作用と筋弛緩作用の成分が入ってる。だから切れないとは思うけど、それでも体は拒絶反応で激痛がする。ごめん」
先輩は持ってきた薬のふたを開けて、中身を見せてくれた。それを人差し指と中指にたっぷりすくい、僕の分身と後ろの穴にたっぷりと塗り込めようとした。でもさっきまで欲しい欲しいと収縮を繰り返していた後ろはしっかりと閉じていて、まるで“あなたじゃない”と言わんばかりに緩まない。
「どうして?なんで?ぼくのからだへん。せんぱいぃ。」
焦ってまた泣きそうになった。
「泣かないで。君が悪いんじゃないよ。できるだけそっとするからね」
そう言って先輩は襞の周りに優しく薬を塗っていた中指をツプリと差し入れた。
「うわあぁぁ」
閉じた口に侵入してきた異物に、ザッと鳥肌が立った。物凄い違和感に血の気が引いた。
ダメ。コレジャナイ。チガウ。――アナタハチガウ
先輩はそのままぐりぐりと中をかき回し、抜き差しを繰り返して中指も揃えて入れた。
「え?え?」
違和感が凄い。
僕は先輩の胸を手で押し、違うと首を振ったけど聞いてもらえなかった。そのうちに異物は更に大きくなり、僕はパニックに陥った。
チガウ。チガウ。コレハナニ。ダメ。ダレ?ボクハナニヲサレテルノ?
かき回すだけかき回して、異物はゆっくりと出ていった。僕はほっとして力を抜いた。その直後、
「っぎ、いああぁぁぁあ!!!」
異物に貫かれて背中を激痛が駆け上がった。上に逃げようとしたけど体をがっちりと抑えられて逃げられない。剛直はめりめりと力任せに侵入してくる。
ナニ?ナニガオキテルノ?ココハドコ?
――コレハダレ?ナニヲシテルノ?
「いた、いたいぃぃ。だめ、ちがう、だめなの、たすけて、だれかぁ」
腕を突っ張り、かかとを蹴り、足をばたつかせて抵抗するけどボクを抑え込むダレかはびくともしなかった。さらにずんずんと深く押し入ってくる。
イタイ。コワイ。コレジャナイ。ダレ。ボクハナニヲサレテルノ。ボクハ…ボクハ…ダレカニ……オカサレテル!
僕は泣きじゃくって抵抗した。胸は早鐘を打っている。
「いや、いや!だめ!いたい!だれか、だれかぁ!たすけて、たすけて!!」
「誰を呼んでいる?」
上から静かで強い声が降ってきた。
「晶馬、誰に助けて欲しい?君が求めるのは誰だい」
ダレ?誰?僕が助けて欲しいのは――
「……んぱい、せんぱい、せんぱい!たすけてせんぱい!せんぱい!!」
「晶馬、こっちを見なさい」
あごを取られて背けていた顔を振り向かされた。
「あ…」
「君を抱いてるのは私だよ」
どうやら僕はパニックになっていて、誰に何をされていたのか分からなくなっていたらしい。
そこには求めてやまなかった藤代先輩が、圧倒的支配力をまとったαのオーラで見下ろしていた。
「あ…せんぱい…せんぱい」
「もうお前は私のものだよ。誰にも渡さない。たとえそれが運命だろうとね」
先輩はそのままグッと腰を推し進め、僕の深いところでイってくれた。どくどくと先輩の脈動を感じていると、それと同時に首筋に血が出るほど深く噛みつかれた。僕はそのまま気を失った。
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