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第16話

来なさい、と霧原は紡に言い、雑誌を小脇に抱えたまま部屋を出て廊下を歩き出した。学校から帰ったらしく、居間で何か食べながらテレビを見ている守に声をかける。 「守君。レコード聞くけど、来るかい?」 「けっこうですー」 守がテレビを見たまま陽気に返答した。 「そうか」 霧原はくすくす笑った。 「じゃあしばらく、お兄さんとオーディオルームにいるからね」 「はあい」 紡は俯いて霧原の後をついて行った。オーディオルーム?そこでなにをするんだろう。罰って?殴ったりとかするんだろうか――でも霧原はそういう乱暴な事をするタイプには思えない。 部屋へつき、霧原は紡を中に入れるとドアの内鍵をかけた。そうして紡に向かい、信じられない言葉を発した。 「服を脱ぎなさい」 一瞬――意味がわからず紡は霧原の顔をぽかんと見つめた。しかし彼が恐ろしく厳しい表情をしていたので、逆らえず、シャツのボタンを外し始めた。 手が震える――どうにか上半身裸になると、霧原は 「下もだ。全部脱いで裸になりなさい」 と命じた。

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