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第26話

紡はそれから――命じられて制服を脱ぎ、もうひとりの少年と一緒に霧原と紳士の前に裸で立たされて、身体を比較された。向こう向きで尻を突き出して並べるよう言われたり、向き合って性器同士の先を触れ合わせるように言われたりした。 なに?これ――この人たちは僕らに何をさせてるのだろう?こんなの――人間に対する扱いじゃない。まるで物みたいじゃないか。紡はただ青褪めて、恐怖心から命令に従っていたのだが、隣の少年が――頬を紅潮させ、明らかに性的興奮を覚えているらしいのに気付いて愕然とした。この子は、こんな風に扱われるのが好きなのだ―― どうして?紡にはわからなかった。こんな酷いこと――自分の意思なんかないみたいにされて。 しかし気付いた。そうだ、意思なんかない。だって、どちらにしたって拒絶することなんてできないんだから。だったらいっそ彼みたいに――自ら望んでそうしていると思った方がいいのではないか?でも―― 「やはり初めてだと緊張するよね」 霧原が言う。 「その子を見てご覧。私達に見られているだけでそんなに――昂ぶってしまって。紡も早くそうなれるといいのだが」 確かに、彼は息を微かに荒げ、股間のものも立ち上がりかけている。 「だって――いやらしいことされるの好きなんだもの……」 彼は腰を男性二人の前に突き出し、自身を見せつけるようにしながら答えた。 「見て。もっと恥ずかしいこと命令して、僕らにさせて――」 いやだ。 紡は突然酷い嫌悪感に襲われ、身体を庇うように両腕で包み、その場にしゃがみこんだ。 いやだ、こんなの――もういやだ。おかしくなっちゃうよ。 この子みたいに――見世物にされて喜ぶようになるのなんか辛すぎる。 そう思ったら涙が溢れてきて、紡はうずくまったまま声を上げて泣き出した。 隣の少年が紡の裸の肩を抱く。 「僕も最初、そうやって泣いたよ――」 彼は言いながら、紡の耳を甘く噛んだ。 「でも大丈夫。すぐ好きになる――この人たち上手だからね、本当に辛いことはされない。鎖に繋がれて吊るされればそりゃあ少しは痛いけど、気持ちがいい痛さなんだ。すぐに僕みたいに、そうして欲しくってたまらなくなるよ……」

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