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第40話

案の定、だったな―― 霧原は調査会社がまとめてきた報告書を手にし、顔を顰めていた。 自分の推測とは少々違ってはいたが、紡は、霧原が許可した友人宅の訪問を終えた後、瀬島――この男は之彦を通して少し知っている――なぜか彼に懐き、その事務所――自分の融資会社と違い貧民相手の安っぽい街金だ――そこに立ち寄って遊んでいるらしい。 探偵が密かに撮ってきた映像には、紡が霧原には見せたことのない少年らしい邪気のない笑顔で、瀬島やその仲間とふざけあっている様子が映っていた。 気に入らない――自分はあの子に、本来なら不可能な最上級の生活をさせてやっている。身体的な快楽も充分に与えているはずだ。なのになぜ、そんな(タチ)の悪い男に媚びる必要が? 報告書によると、紡はただ、トランプゲームや模型作りなどの幼稚な遊びの相手を瀬島にしてもらっているだけで、肉体的な関係は無いということだった。 瀬島は紡が、霧原に充分性的に開発されきった身体であることを知らないのだ。之彦の話を聞く限りでは瀬島も相当な遊び人という事だから、紡の本性を知れば身体(それ)を試さずにはいないはずだ。あの子の幼い見かけに騙されて、ただのなんということのない高校生だと思っているのだろう。 それなら――と霧原は薄く笑った。 それなら瀬島に、自分が仕込んだあの子の本当の姿を見せてやろうじゃないか。 男に悦ばされて艶めかしく悶える様子を見れば――今の瀬島の、紡を子供扱いにした対応も変わるはずだ。そうなれば紡も、瀬島にあんな笑顔を向けることはなくなるに違いない――

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