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第41話
瀬島は之彦にせがまれて気の進まない遊びに参加することになった。
例の、以前之彦が話していた、霧原が飼っているという高校生――その少年が仕上がったから、之彦とともに瀬島にもぜひ一度賞味して欲しいと言うのだ。
悪趣味野郎、と瀬島は内心毒づいた――紡が事務所に遊びに来る今だから余計にそう思う。高校生なんてあいつと同世代だろう?霧原のとこの子がどんだけの好きモノなのかは知らないが、紡を見てると高校生なんてまだまだ――他愛ないものだ。
ふと紡の無邪気な顔を思い出した――彼は小遣いの使い道を家の人に報告しなけりゃならないとかで、気軽な買い食いもし辛いらしく、ファーストフードを奢る程度のことで大いに感激してくれる。遊びもあまり知らないようで、ちょっとした事を教えてやるだけで心底楽しそうな様子をするからいじらしくて仕方がない。こないだはトランプをタワーみたいに積み重ねる方法を見せてやって、それで高さを競ったら、死ぬほど真剣になってやってたっけ――トランプを積む時あんまり息を詰めてるもんで、また倒れやしないかと心配になったほどだ。
ホント、可愛いんだよなぁと瀬島は思わずニヤけてしまった。まあ俺もさあ……ああいう子は嫌いじゃないんだよ。いや嫌いじゃないどころか、ストライクゾーンど真ん中だ。
しかし紡に手を出す気はない。そりゃあたまに?ちょっとチューぐらいしてみてえなと思うことはあるが、怖がらせて嫌われたらとんでもねえや。
それに、おそらく紡は瀬島に癒やしを求めて事務所へ来るのだ。家で何があるのかは相変わらず話そうとしない――しかし、だからせめて、俺は事務所を、紡が本当に気を抜いて、安心して遊んでいられる場所にしてやりたいんだ。
だがそこを之彦に逆手に取られた。今日の遊びに付き合わなかったら、瀬島が昔何をしてきたか剛ちゃんお気に入りのその子にばらしちゃおうかな、などと恐ろしいことを言うのだ――冗談じゃない。
之彦は紡に会ったことはないが、瀬島を訪ねて事務所に来るのを知ってるから接触しようと思えば簡単にできる。まさか本気とは思いたくないが、念のため瀬島は一度その遊びとやらに付き合うしかなかった――気が乗らなければすぐ帰ってくればいい。
瀬島はため息を付き、之彦が指定したイタリアンブランドのスーツとコートを身に着けた……こんなのを着ると俺はまるっきりスジ者にしか見えないから、これも気が進まないんだが――安っぽい服で行って、好みにうるさい霧原に顔を顰められ――なんで俺が霧原の機嫌をとらねえといかんのだ――門前払いされてはたまらないから、と之彦が言うので仕方無しに従った。
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