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第42話

指定されたホテルへ着き、フロントで霧原と自分の名を告げると、手配がされていたようで、すぐにキーを渡された。 「こちらで、ご自由にお部屋へお入りになってくださいとのことです」 瀬島は頷き、部屋へと赴いた。 カードキーでドアを開け瀬島が中へ入ると、すでにコトは始まっているようで、奥にあるらしい寝室の方から少年の上げる甘ったるい声が微かに響いている。 「やっと来た?遅刻だよぉ」 ドアの音に気づいたのか之彦が奥から言った。 「こちらへどうぞ」 霧原の声もする。 「遅いようなので始めてしまった。すまなかったね。待たなくて」 「いえ。ちょっと、ヤボ用で――」 瀬島はぼそぼそと言い繕いながら、コートを脱いで片手に持ち、寝室へと進んだ。 中央に大きなベッドがある。その上に之彦が裸で膝立ちになり、四つん這いになった少年に自身をしゃぶらせていた。霧原は服をつけたままその脇に立って、二人を見ている。 少年は裸で、こちらへ向けた彼の白く小さな尻の中心には、性玩具が深く突き立てられていた。 「――脱いでくれば?」 之彦が微かに息を切らせながら瀬島に言う。 「いや……」 瀬島は低く言って傍にあった布張りの椅子に腰掛けた。 「さすが、よく仕込まれてる……巧いね」 之彦が喉を上げて満足気に言った。 「うん……そう、そこ……いいよ……よし、じゃあ、そろそろ下に()れさせてもらおうかな……」 「之彦くんのもなかなか立派だからね」 霧原が言いながら少年の尻に手をかける。 「まあ大きめのものを()めて充分ほぐしてあるから……大丈夫だとは思うが」 「僕は狭いのも好きなんだけど?」 之彦が言うと霧原は微笑し、玩具をずるっと少年のそこから引き抜いた。 「あふ……うっ」 少年が声を上げる。玩具が引き出されたそこは、挿れられていたモノの太さのままに痛々しく口を開けていた。それを霧原が指を使い、ぐりぐりと更にこじ開ける。 「あ!あ、いた……い!やめて……やめてください……」 少年がしゃぶるのをやめて泣き声を上げた。 「もっと、と言いなさい」 少年は怯えたようにびくりと尻を震わせ、 「も、もっ……あ!あ!いた……あっ、もっ、と……」 と上半身をベッドに突っ伏しながら半泣きで口にした。 瀬島はそこで少し眉を(ひそ)めた。仕上がったって聞いたが……慣らされて、ああいうキツい扱いが好きになっているんじゃなかったのか?あの痛がり方は――悦んでるようには思えねえぞ……? 「では……之彦くんに入れてもらいなさい」 霧原が突っ伏していた少年の髪を掴み、頭を引き起こす。 「お尻を……彼の方へ向けるんだ」 少年は髪を引かれるまま、身を起こし四つん這いで瀬島の方へ向きを変えた。霧原が掴んだ髪をぐいと更に引っぱり、俯いていたその顔を瀬島に向けて上げさせる。彼の顔を見て、瀬島は――はっと息を呑んだ。 紡!? 瞬時に瀬島は全てを悟った。紡がどうしても瀬島に話そうとしなかった――家でされている事。 こういう事だったのだ―― そうだったか。 瀬島は咄嗟に動揺を押し隠し、唇を引き結び黙って紡の顔を見た。次いで紡が――薄く目を開け、瀬島の姿をその瞳に捉えた。 その一瞬、紡の顔にさっと横切った深い絶望を――瀬島は見逃さなかった。

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