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第51話

霧原が期待した通りに来栖はあれ以降、勉強を教えた後、紡との性行為に(ふけ)るようになった。 来栖は見かけから受けるイメージ通りセックスのやり方もおとなしかったが、兄のように甘え、慕っていた相手の慰みものにされねばならないというだけで、紡に心理的なダメージを与えるのには充分だ――これであの子も、さらに自分の立場を思い知ったに違いない。そして霧原が、いかに完全な紡の支配者なのかということも身に沁みてわかったはずだ。 今日は……来栖が来ているはずだ。霧原はオフィスのデスクでいつものように書類に目を通しながら、自宅に仕掛けてある監視カメラを作動させて映像を確認した。来栖が紡に触れ出すまで、今回は……どのぐらい持つかな? お堅い雰囲気の来栖が、自分を抑えきれなくなって紡に覆いかぶさるのを見物するのは毎度愉快だった。その時、いかに紡が絶望を覚えているか想像するとあの子の事が愛おしくてたまらなくなる――打ちひしがれた状態の時の紡の哀れさ、可愛らしさと言ったら最高なのだ。そうして、来栖とのノーマルな性行為では紡はもう満足できない身体なのだから、その後は自分が凝ったやり方でたっぷりと可愛がって―― そこで突然、霧原は思考を中断し、モニターに身を乗り出してカメラの映像を凝視した。何かがおかしい。 カメラは紡の部屋と、オーディオルームに仕掛けてある。そのどちらかに映っているはずの二人の姿が――ない。 霧原は契約している警備会社の保安カメラ映像にモニターを切り替えた。そちらは玄関や裏口など、侵入者を警戒しなければならない箇所に取り付けさせてあるのだが――そこに映る裏口のドアが、細く開けっ放しになっている。施錠されていないらしい。 家政婦が帰宅する際閉め忘れたか?警備会社を向かわせようかとも思ったが、二人が見えないのが気にかかる――自分が行った方がいいだろう。霧原はデスクから立ちあがって上着を掴むと、自宅へと向かった。

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