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第11話

 数分経つと俺の呼吸は落ち着きを取り戻した。 「ごめん、もう大丈夫だから」 謝りながら立ち上がり大きく息を吐いた。 「本当に?」 心配そうに揺れる大きな瞳に大丈夫と微笑んだ。 「ただの過呼吸だし、もう落ち着いたから」 ゆっくりと呼吸をしながら少し先に見える自販機に向かって歩き出した。 兄さんの事を思い出して過呼吸になることはあったけど、さっきはどうして……。 「過呼吸ってどうして……」 自販機で買ったお茶で喉を潤している俺に永徳がまだ心配だと言わんばかりに訊ねてくる。 「わかんねぇ」 俺の方が聞きたいくらいだ。 「翔!」 はぐらかされたとでも思ったのか、俺の肩を掴んで振り向かせた。 「(いて)ぇ」 その力の強さに驚きながら眉をしかめた。 「あ、ごめん。でも――」 「本当にわからないんだって」 慌てて手を離す永徳に苦笑するしかなかった。

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