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第14話

「おはよう、翔」 朝からにこにこと元気よく聞こえる永徳の声が爽やかだ。 (だる)い身体を引き()って歩く俺にはその爽やかさが少し……うざい。 「おはよ、永徳。昨日は――」 「その話は終わってから話そう。今日って何限まで?」 俺の言葉を遮って予定を聞いてくる永徳に身体の怠さが増した気がする。 その話って俺は過呼吸で迷惑かけたことを謝ろうと思っただけなんだ。 引っ張る要素はどこにもねぇよ。興味本位ならやめてもらいたい。 「3限で終わりだけどバイトあるから」 「バイト終わってからでも大丈夫だよ」 遠回しに断ろうとする俺に気付いているのか気付いていないのか強引に決めてくる。 俺が大丈夫じゃねぇんだよ。 「いや、夜10時までだし、遅くなるから」 この場で謝って終わらせたい俺は無駄なあがきかと思いながらとりあえずあがいてみる。 「あ、そうか。翔のバイト先まで迎えにいくよ」 永徳の笑顔に断る気力はもうなくなった。 遅くなるからをそう捉えたか! 迎えに来てほしくて言ったわけじゃねぇよ。 反論する気力もなくして、わかったと仕方なく頷いた。

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