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第15話
夏になり日が長くなったとはいえ、バイトの終わった午後10時過ぎの空は真っ暗で、店の灯がぼんやり歩道を照らしていた。
「本当にいる……」
店前の歩道にあるガードレールに軽く腰掛けている人の顔は暗くてよく見えないけど、あんなにでかい人は永徳だろう。
「お疲れさま」
俺が近付くと永徳がにこっと笑った。
「永徳、俺は昨日の事を謝りたかっただけで――」
待っていた永徳には申し訳ないけど俺にとっては話したい話じゃない。
「うん、俺の家で話そうか」
そう言って歩き出す永徳の顔は無理して笑っているようで。
「だから、無理して笑ってまで俺と話す事ないだろ」
「やっぱり翔にはわかっちゃうんだ。でも心配しなくていいよ癖みたいなものだから」
不満を口にする俺にそう返して歩いて行く永徳の後ろを仕方なくついていった。
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