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第17話

   しばらくして到着した救急車のサイレンの音に外に出て来た両親と永徳が話しているのを眺めながら俺は担架で車内に運ばれた。 出血のせいか途切れそうになる意識の中で泣きながら俺を呼ぶ永徳にそんなでかい身体で子供みたいに泣くなよと苦笑した。  病院に着くと意識が朦朧とする俺の周りを医者や看護師達が慌ただしく動き回り、意識を手放そうとする俺に何度も声をかける。 ようやく処置が終わったのかベッドに寝かされる俺の周りは静かになった……と思ったのも束の間で病室に入ってきた永徳が俺の手を握りながらごめんと何度も繰り返している。 永徳が悪いわけじゃない、俺が勝手に転んだだけだ。そう言いたいのに、朦朧とする意識の中で目を開けていることも辛い。 泣きそうな顔で話しかける永徳に返事をしようと口を開いても声が出ない。 「今は眠らせてやってくれないか」 透き通るような少し低めの声に重い瞼を持ち上げると見守るような眼差しの佑真さんと視線がぶつかった。 佑真さんがいる、ただそれだけで自然と頬が緩みゆっくり目を閉じた。 ごめん永徳。後でちゃんと謝るから、今は眠らせてくれ……。

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