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第31話

「で、話って何?」 「えっ、ここじゃちょっと……」 3限が終わり学食で昼飯を食べながら正面に座る永徳に訊ねると困ったような笑顔を向けてきた。 やっぱり軽く聞ける話じゃないみたいだ。 永徳の話を聞くのが嫌なわけじゃない。ただ自分の事にも戸惑いうまく処理できない俺が話を聞いた所で何もできない気がする。 「俺の家に来てくれる?」 永徳の言葉に箸を止め、ガラス越しの照り付ける日差しに目をやる。あの日差しの下は相当暑いはずだ。その暑さの中、永徳の家までの長い道のりを歩くのはとてもじゃないけど耐えられる気がしない。 「俺の家でもいい?」 「えっいいの!?」 予想外に驚く永徳に首を傾げる。俺の家の方が近いから言っただけなんだけど何でそんなに驚くんだ。友達の家に行く事なんてよくあることだろう。 「お前、友達の家に行った事ねぇの?」 「そんなことないよ」 聞いてしまってから失礼な事を言った気がして申し訳ない気持ちになる俺に気にした様子もなく永徳が笑って答えた。 でもじゃあなんなんだ。釈然としない気持ちを抱えながらとりあえず昼飯を食べ終えた。

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