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第57話【R-18】

「だって……佑真さん、シなくたって平気そうに見えるから……」 「平気そうって……試してみるか?」 俺の身体を抱き寄せる佑真さんが浮かべるいつも俺をからかう時の悪戯っぽい笑みが何だか艶っぽく見えて顔が熱くなる。 「んっ……んぅ……」 答える間もなく塞がれた唇から滑り込む佑真さんの舌の熱さに呼吸をする事さえ忘れてしまいそうになる。 角度を変え深く重なり合うその中にいつもの冷静で落ち着いた佑真さんは微塵もなく、ただ俺を求める熱さに全身が溶かされていくようだった。 「翔……」 佑真さんの艶を含んだ透き通るような声が俺の奥深くに響き、情欲に濡れた茶色の瞳は俺が欲しいと告げている。 「佑……」 再び重なる唇に俺の声は吸い取られてしまう。 お前をずっと求めていたのだと言いたげに咥内で深く強く絡み合う熱情に偽りのない佑真さんの想いが伝わってくる。 「煽ったのはお前だからな」 耳元で囁く佑真さんの吐息の熱さに身体は甘く痺れはじめる。 首筋から鎖骨へと水音を立てながら佑真さんの唇が流れ、鎖骨を軽く噛まれると堪らず吐息を漏らし首筋に埋められた佑真さんの頭を掻き抱いた。 「はぁ……っ」 もっと、触れて欲しい。もっと佑真さんを感じたい。 とけそうなほど熱い身体に何も考えられなくなってくる俺の耳に聞こえたチャイムの音に大きく身体が跳ねた。 「佑真さ……誰か来たんじゃ……」 「放っておけばいい」 余裕のない声でそう言い、俺を見つめる佑真さんの顔が近付くとそっと目を閉じた。 もっと、もっとと咥内で絡み合う舌にどちらのものともわからない唾液が口端を伝う。 キスだけじゃ足りない……訴えるように佑真さんの背中に回した手に力を込めた俺を邪魔するかのように再びチャイムが鳴り響く。 「誰だよ……」 小さく舌打ちをして玄関へ向かう佑真さんを見送りながら俺も慌てて上着を着た。

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