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第70話

 あれから永徳とはしばらく気まずかったけど今では前みたいに友達としてうまくやっている。 最近、彼氏が出来たらしい秋穂さんに飲み会に誘われる回数が減り、教員試験のための必修科目が増え忙しい俺は見たこともない秋穂さんの彼氏にお礼を言いたいくらいだ。 佑真さんも相変わらず忙しそうで、のんびり過ごした夏休みが懐かしく感じてしまう。 そばにいられるだけで幸せなのに、もっとそばにいたい、もっと一緒にいたい、もっと触れていたい、もっともっと……際限なく膨らむ欲求を持て余し、一緒に暮らしているのに会えない時間が不安で寂しくて、そんな自分が情けなくなる。 きっと佑真さんはそんなこと思わないんだろうな。 「水沢?」 電車を待つホームで名前を呼ばれ振り向くと藤崎が驚きながら確認するように俺の顔をじっと見ていた。 「藤崎……?」 藤崎は前に通っていた大学の同学年で学部は違ったけど飯を食ったり遊んだりしていた友達だ。 遊ぶ……というより合コン大好きな藤崎に合コンに連れて行かれる事が多かったんだけど。 でもそのおかげで佑真さんと出会えたわけだから俺にとって藤崎は恩人みたいなもんだな。 「やっぱり水沢だ!お前どうしてたんだよー。携帯も繋がらないし、江角に聞いても知らないって言うし、心配したぞ」 「ごめん、今は違う大学に通ってるんだ」 「ま、会えたからいいけどな。それより飯でも食いにいかねぇ?」 不満そうな顔をしていた藤崎は謝る俺に笑顔を向けた。 久しぶりに会った変わらない藤崎に嬉しくなって大きく頷いた。

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