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第83話【R-18】

 目を覚ますと窓から差し込む夕日で部屋の中がオレンジ色に染まっていた。 「今何時……痛っ……!」 上半身を起こそうとすると腰は電気が走ったように痛み、力が入らない。 「大丈夫か?」 いつから起きていたのかくっくっと笑う佑真さんが悶絶する俺を眺めていた。 大丈夫じゃない。腰は痛いし後ろにも違和感がある。腰をさすりながら何も着ていないことが恥ずかしくなって布団に潜り込んだ。 「翔?」 俺の髪に触れる佑真さんの手にぴくりと身体が震える。 俺を呼ぶ佑真さんの声に今朝の事を思い出してしまって顔が上げられない。 夢中だったとはいえ朝っぱらから何をしてるんだ俺は……いや、何ってナニだけど……。 触れ合う素肌の心地よさとか、艶っぽい佑真さんの声とか、初めてみた佑真さんの余裕のない表情とか……思い出すと佑真さんに与えられた快感が蘇ってきて頭が沸騰したようにくらくらしてくる。 「俺が怖いのか……?」 恥ずかしさにどんな顔をしていいのかわからず枕に顔を埋める俺に不安そうに佑真さんが呟いた。 何言ってんだこの人。佑真さんは俺より、俺が兄さんにされた事を気にしている気がする。 なかなかできなかったのも佑真さんが俺に怖いと思われたくないと思っていたせいだ。 そんな佑真さんの気持ちは嬉しいけど、今はそうじゃないだろ。 わけわかんなくなるくらい気持ちよくて、()かされて、声だって我慢できなくて……恥ずかしくなるに決まってんだろ!? そんな簡単な事が恋愛偏差値の高いこのイケメンにはどうしてわからないんだ。 「バカじゃねぇの」 「え?」 枕に埋めていた頭を佑真さんの胸に預け呟く俺に不思議そうな声が聞こえた。 「恥ずかしいだけだよっ」 「あぁ、なるほど」 頬に感じる佑真さんの素肌の感触に恥ずかしさを誤魔化すように怒鳴る俺にかわいかったと優しく頭を撫でている。 このイケメンに恥じらいという言葉はないのか。 初めてキスした時も、今も何でもないように平気な顔して……。 「何か不公平だ」 「何言って……翔っ……」 静かに鼓動を繰り返す佑真さんの胸をぺろっと舐め、佑真さんの中心をそっと握るとゆっくりと形を変えていく。 「あ、硬くなった」 「そりゃ……なるだろ」 形を変えるそれに嬉しくなって笑みを浮かべる俺に佑真さんが眉をしかめた。 「嫌ですか?」 「お前は本当に……俺を煽るのがうまい」 上目遣いで訊ねる俺の唇は佑真さんの唇で塞がれ、気づけば体勢は逆転していて俺の舌を絡めとるように佑真さんの舌が蠢いていた。 「はぁっ……ちょっ……佑真さ……」 「ん?」 息を乱す俺に悪戯っぽい笑みを浮かべる佑真さんにやっぱり不公平だと不満な目を向けるとかわいいなと笑われた。 「かわいいって……俺なんかよりあの子の方が可愛いじゃないですか」 昨日出会った佑真さんの従妹だという木下美咲を思い浮かべながら、かわいいっていうのはああいう子の事を言うんだよなと思った。それに男にかわいいは褒め言葉じゃないと思う。 「あの子って美咲?翔は美咲みたいな子が好きなのか?」 不機嫌そうな表情の佑真さんに意外と嫉妬深いんだなと思わず笑ってしまう。 「そうじゃなくて、一般的に可愛いって意味ですよ」 笑いの漏れる俺の唇を塞ぐと息をする暇も与えないほど咥内を激しく蹂躙され咥内の水音が耳に響くと脳が痺れたように思考が停止する。 「翔のそんなかわいい顔は俺だけが知っていればいい」 唇を離し糸を引く唾液をぺろりと舐める佑真さんを艶めかしいなと眺めながらはぁはぁと荒い呼吸に胸を上下させていた。 そんな事を言われてもキスしたいと思うのも、欲しいと思うのも佑真さんしかいない。 「ずるい……」 どうやったって勝てそうにない佑真さんに持て余すほど熱くなった身体をどうやって落ち着かせようかと熱い吐息を漏らした。 「……誰にも見せずに閉じ込めてしまいたくなる」 昂る自身を俺の中心に摺り寄せながら物騒な事を言うのはやめてもらいたい。 「そんなことしなくても俺っ……佑真さんしか……見てない……」 足りない刺激に腰を揺らす俺と自身を握り込んだ佑真さんの手が上下にゆっくりと動き出した。 密着する二人の熱に無意識に伸びた手が佑真さんの手を掴み早さを加速させた。 「翔っ……」 「佑……真さ……もっと……」 押し寄せる快感に足を突っ張らせ吐き出された熱い飛沫が混ざり合った。 荒い呼吸が落ち着いてくると恥ずかしさが込み上げ、シャワー浴びてきますと逃げるように浴室へ向かう俺にごゆっくりと佑真さんの笑い声が聞こえた。 本当に……誰かあのイケメンに恥じらいという言葉を教えてやってくれ。

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