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亜利馬、ようやく撮影終了
そういうわけで――翌日。『亜利馬・最速コウソクデビュー』である。
デビュー早々いきなり縛られるという俺にしてみればハードな内容だけど、叫んだり暴れられないようにするための苦肉の策ということだ。まるでレイプのようで、新人の俺にそういうイメージが付かないか獅琉は心配していたが……
「むしろそうしてもらった方が、俺としても安心かもしれません」
下手に自由が利くと自分でも何をするか分からないと言えば、不安げながら獅琉も納得してくれた。
今日は元々獅琉とのシーンを撮る予定だったのだが急遽内容が変更となり、俺と獅琉、そして潤歩との三人でこれを撮ることとなった。
結果はどうあれ潤歩も頼もしかったけど、獅琉がいてくれるともっと安心できるのはどうしてだろう。こんなイレギュラーな展開に文句も言わず焦りもせず、ただ俺を励ましてくれる獅琉は本当に天使のような存在だった。
潤歩は頼もしい。獅琉は安心できる。二人がいてくれれば二倍頼もしいし安心だ。
「亜利馬、落ち着いてね」
「また蹴ろうとしたら、逆にお前のケツ蹴っ飛ばすからな」
「は、はいっ。お願いします!」
両手の拘束を外された俺の背後に潤歩、前に獅琉。あぐらをかいた潤歩の脚に上半身を乗せ、開いた脚の間に獅琉の上半身が入っているという恰好だ。その状態で「スタート」の声がかかり、獅琉が小さく頷いてから俺のパンツをゆっくりと脱がして行った。
休憩を挟んで萎えた俺のそれがカメラにアップで映し出され、妙な解放感にぶるっと体を震わせる。背中に感じる潤歩の体温が心地好く、俺を見下ろす獅琉の眼差しは優しい。少しずつ開かされた脚の間に獅琉が顔を落とし、萎えた俺の性器にそっと口付ける。――愛おしむようなキスを繰り返す獅琉の顔は艶めかしくエロかった。
「ん、……んぅ……あぁっ」
獅琉のキスがやがて舌での愛撫に変わり、芯を持たない俺のそれが獅琉の舌に弄ばれるようにしてぷるぷると揺れた。
「一丁前に感じてんのかよ。エロい顔」
上から俺を見下ろす潤歩が、意地悪く笑って俺の乳首を指で弾く。
「んん、ぁ……気持ち、い、です……、あんっ」
「贅沢なことされてんなぁ、お前……」
潤歩に左右の乳首を揉まれて抓られ、獅琉に恥ずかしいところを舐められ……俺はまな板上の魚みたく体を跳ねさせながら、トップモデル二人による極上の愛撫を存分に体験させてもらっていた。
「ふふ。亜利馬、可愛いペニスが男らしくなったね」
芯を持ち完全に上を向いた俺のそれを、獅琉が根元から先端に向かってべろりと舐め上げる。
「あ、あぁ……あ、……しりゅ、さん……」
「もっとして欲しい? 潤歩にも手伝ってもらおうか」
獅琉が目で合図を送ると、頭上を越えて潤歩の右手が俺のそれに伸ばされた。輪っかにした親指と中指で潤歩に竿を扱かれながら、更に獅琉に先端を含まれる。
「あっ、んん……! だ、駄目ですっ、……それ……!」
「それって、どれだよ?」
「さ、さわりながら、すうのっ……や、だあぁっ……!」
「嫌じゃないよね。亜利馬のおちんちん、涎垂らして凄い喜んでる。……ヤラシイ味するよ?」
「いっ――や、……あぁっ、獅琉、さんっ……」
獅琉の優しい声でそんなことを言われると、余計に恥ずかしくて顔が真っ赤になる。何とか鼻血を堪えることができたのは、頭の中に新しい台本がインプットされていたからだ。これで獅琉が変にアドリブを入れてきたら、間違いなく噴出していただろう。
「はい、一旦止めまーす」
その声と同時にカメラが俺達から離れ、獅琉と潤歩も俺から離れた。二人が手早く下着を脱いで獅琉がスキンを装着させる間、ユージさん他現場のスタッフ達が慌ただしく俺達の汗を拭いてくれた。
「亜利馬、お尻上げて」
「は、はい。――ひゃっ!」
ちょっと急いだ様子で獅琉に言われてその通りにすると、獅琉が手のひらに出したローションを俺のそこに塗りたくった。
「潤歩よりはデカくないから大丈夫だと思うよ。落ち着いて、別のこと考えてていいから」
そうして俺達はそれぞれ、さっきと同じ位置に戻った。
「歯、たてるなよ。苦しくなったら無理しねえで口から抜け」
「は、はひ……」
これから俺は獅琉とセックスをしながら、潤歩のそれを咥えることとなる。カメラが再び回り出し、獅琉が開いた俺の脚の間へ自身の腰を入れた。
「綺麗だよ亜利馬」
「………」
瞬間、獅琉の先端が俺の中を押し広げた。
「っ――」
声も出せずに喉を反り返らせた俺の頬を、上から潤歩が優しく撫でる。
「力抜け。息吸って、吐け」
大きく深呼吸をすると、さっきよりも奥へ獅琉のそれが入ってくる感覚があった。撮影前に自分で慣らしたのとローションの力とで、それほど痛みは感じない。苦しいのは獅琉の一番太い部分が通過するまでのことで、そこを過ぎてしまえばもう、達成感しかなかった。
――男のモノって、挿入しやすい形になってるんだな。
馬鹿なことを考えていたら、潤歩が俺の頬を軽く叩いて合図してきた。
「あ、……」
あぐらをかいた潤歩の右脚に頭を乗せた状態で、露出した潤歩のそれを握り、頬張る。当然口の中に収まりきらないから、できるところまで、だ。
「ん――んんっ、ぅ……」
初めて奥まで貫かれ、初めて男のそれを咥えている。そんな俺の姿は余すところなく映像として収められ、編集され、ディスクに収録され、不特定多数の人達に見られることになるんだ。
「は、あ……」
苦しくなって潤歩のそれを一旦口から抜き、舌で何度も先端を舐める。決して上手くはないのに、潤歩は気持ち良さそうに息を漏らして俺の頬を撫でてくれた。
「あぁっ、……あ、あん……」
「亜利馬、馴染んできたね」
獅琉のそれがゆっくりと、何度も俺の中へ出し入れされる。奥に到達した時に、先端で中を「つん」と押される感覚が妙に気持ち良く、また引き抜かれる時の感覚もぞくぞくする。
ああ。不思議で仕方ない。――俺、セックスしてるのか。
「ちょっと速くするよ」
獅琉が俺の両脚を更に大きく開かせ、尻の穴が上を向くような体勢を取らせた。そして突き上げるのではなく、上から下へぶち抜くようにして――
「い、あっ……あぁっ! し、りゅ、……さんっ……激しっ、は、げし、すぎ……ますっ……!」
「気持ち良くない? 亜利馬の中、すっごい俺のこと気に入ったみたいだけど?」
上から獅琉の汗が降ってくる。潤歩のも咥えないといけないのに、こんな激しくされたらもう、他のことなんて手に付かなくなってしまう。
「んやっ、あぁ……! あっ、あ――獅琉、さんっ……しりゅ、さん……」
「おい、亜利馬。サボんなって」
「んっ……」
口に潤歩のそれを押し付けられ、半ば自棄になって頬張る。潤歩がしてくれたみたいに口の中で舌を動かし、何度もその表面をなぞり、くすぐり、唇を窄めて吸い上げる。やろうと思ってしたことじゃなかった。自然とそうなってしまったのだ。
「は、……なかなかだな。そっちはどうだよ、獅琉」
「ん。すごい可愛い。縋りつかれて、キスされてるみたい」
「健気なケツだな」
「俺の好み」
潤歩のそれを含んでいるせいでくぐもった声しか出ないけれど、その代わり、鼻血ではなく涙が出た。ぼろぼろと頬を伝って滑り落ちて行く涙で、枕代わりの潤歩の脚が濡れてしまう。
「愛してるぜ、亜利馬」
その涙に気付いたのか、潤歩が上から頬を拭ってくれた。
「俺も愛してるよ、亜利馬」
「んん……んっ、う……」
二人のその台詞が、「体位チェンジ」の合図だ。そこでまた撮影が止まり、獅琉が俺の中からそれを抜き、今度は潤歩がスキンを着けてベッドの後ろで膝立ちになり、俺も体を回転させて四つん這いの恰好になる。俗に言うバックってやつだ。
俺の正面ではスキンを外した獅琉が膝で立ち、今度は獅琉のそれを俺が咥えることとなる。
「潤歩、手加減してやってよ。亜利馬とのサイズ感考えてね」
「分かってるっつうの。誰に物言ってんだ」
さっきの正常位というやつよりは、後ろからされる方が体勢的にラクかもしれない。
「いつでもいいぞ」
「はい、カメラ回りましたっ!」
「スタート!」
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