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 突き出した尻に改めてローションを塗られてから、潤歩の先端があてがわれた。 「ん……」 「亜利馬、口開けて」  獅琉の息はあがっている。さっき俺の中に入っていたのと同じ硬さを保ったままのそれが、俺の唇にキスをするみたく押し付けられた。 「あ……」  咥える前に潤歩のそれがバックから挿入され、腰の辺りを中心に電流が走った。獅琉のよりもサイズは大きいけど、獅琉が慣らしてくれたのと体位のお陰か、それほど苦しさは感じない。 「んっ、ん……! あっ……!」  獅琉の時は抜かれる時にぞくぞくしたけれど、潤歩の場合は突かれる時に強烈な刺激が襲いかかってくる。奥の奥まで貫かれる感覚がまだ俺には快楽なのか分からないけど、単純に「凄い」ってのだけは伝わってくる。 「はぁ、あ……獅琉、さん、――んっ」  目の前で屹立している獅琉のそれを少しだけ口に含み、味わうように舌を這わせる。後ろから突かれる衝撃で間違っても獅琉を傷付けないよう、深く咥え込むなと教えてくれたのは山野さんだった。 「気持ちいいよ、亜利馬……」  獅琉が俺の頭を撫で、熱い息を吐き出す。後ろでは潤歩も「ハッ、ハッ」とそれこそ獣みたいな声を発している。俺は突き出した尻の中を貫かれる感覚に朦朧としながら、懸命に獅琉のそれを愛撫した。 「あー、堪んね。イきそ」  潤歩のその言葉がまた合図となり、獅琉が俺の腕を取って上体を起こさせた。始めに俺が射精して、次に潤歩、最後に獅琉の順番となっている。まずは俺がイかなきゃ何も終わらない。 「あっ、あ……うぁっ、……あん……!」  膝立ちになった状態で後ろから激しく突かれ、更に獅琉が俺のそれを握って扱き始めた。さっき獅琉にフェラされた時にイけなかった分、一気に快感がせり上がってくる。 「あ、あ……あっ、で、出ちゃい、ます……!」 「いいよ出しても」  獅琉が俺のそれを扱きながら、誰にも聞こえない小さな声で耳元に囁く。 「亜利馬のエッチなとこ、皆に見てもらおうね」 「やっ――ああぁっ……!」  危うく精液と一緒に鼻血が出そうになったが、射精の爽快感に興奮が緩和されてぎりぎり堪えることができた。  迸った精液がベッドの上に飛ぶ。ダークグレーのベッドカバーに真っ白い体液が分かりやすく付着し、カメラがそれを映した後に俺の惚けた顔をアップで撮った。  それから潤歩が俺の中から自身のモノを抜いて素早くスキンをはずし、四つん這いになった俺の腰の上に射精した。そして俺は再び獅琉のそれを咥えてめいっぱいにしゃぶってすすり、ほどなくして獅琉に顔射され、どろどろになった顔をまた映されて―― 「オッケーです!」  ようやく、撮影が終了となった。 「はぁ、……お疲れ様、亜利馬」 「し、獅琉さん……」 「あー、疲れた。シャワー浴びて寝てえ」  アシスタントさん達が獅琉と潤歩にガウンを着せ、俺の顔をタオルで拭いてから俺にもガウンを着せてくれた。 「良かったよ獅琉、お前がいてくれて助かった」 「へへ。ありがとうございます」 「なあ、俺は?」 「潤歩ももちろん良かったって。またアソコ大きくなったんじゃない?」 「なるか、バーカ」 「おーい、できれば三人でシャワー入っちゃって。そこも撮るから」 「了解です。――亜利馬、立てる? シャワー浴びよ」 「……は、はいっ……」  セックスもAVもよく分かっていない俺だけど。 「良かったぞ、亜利馬。頑張ったな」 「山野さん……」  未だかつて経験したことのない充実感というものが、そこにはあった。  *  シャワーを浴び終わって着替えてからまたビルに移動して、今度は俺のジャケット撮影だ。獅琉と潤歩はここで解散となり、給料をもらってからすっきりした顔でそれぞれ自分の部屋へと戻って行った。 「拘束とノーマルと二パターンで行くぞ」  まずは普通の俺をということで、スタイリストさんが用意していた服に着替える。獅琉のようなスーツかと思ったけれど至って普通のラフな格好で、普段俺が着ているのとあまり変わらない。サーフっぽいブルーの半袖シャツに中は黒のタンクトップ、下は弛めのジーンズ。 「新人は自然で爽やかなイメージが大事だからな」と、山野さんは言っていたけれど……普段と変わらな過ぎて野暮ったくならないかと不安になる。 「亜利馬くん、ヘアメするからそこ座ってね」  ドレッサーの前に座ってユージさんにドライヤーをあてられながら、ここにきてようやく「デビューするんだ」という実感がわいてきた。 「髪、柔らかいねぇ。アシメなのはいつからやってるの?」 「え、髪型ですか? ……高一の時に、『一番流行ってるやつにしてください』って、美容師やってた友達のお兄ちゃんに切ってもらって……」 「可愛いエピソードだなぁ。僕がそのお兄ちゃんだったらその場で襲ってるよ」 「ええぇ……ていうかユージさんは普段、美容師さんなんですか?」 「美容師もやってたけど、今はヘアメイクの仕事一本でやってるよ。前はホストクラブとかキャバクラとかと契約してたんだけど、インヘルさんに来てからはこっちでずっとやってるんだ。僕もゲイだし、可愛い子もカッコいい子も見れるから楽しいしね」 「ユージさんもカッコいいじゃないですか。モデルになればいいのに」 「昔一本だけ出たことあるけど、髪の毛いじる仕事の方が好きだからさ」  話しているうちにヘアセットが終わり、俺はユージさんにお礼を言ってから山野さんの元へ行った。 「よし、そこに立て」  背景がグリーンのスクリーンになっている撮影セット。テレビや雑誌で見たことのある、プロのモデルさんとか芸能人が撮影する時のアレだ。そこに俺が立つ日が来るなんて。  ぎこちなく立って背筋を伸ばすと、眩しいくらいの照明が俺に向けられた。  ベテランぽい中年のフォトグラファーさんが「木下です、よろしくね」と俺に笑う。 「よ、よろしくお願いします!」 「まずは正面から普通に撮ってくね。自然に笑ってね」  木下さんは撮るたびに「真顔で」とか「目線を右に外して」とか、細かく指示をしてくれた。 「次は、シャツを肩まで抜いてくれるかな?」 「は、はい」  そんな調子で時間をかけて何枚も何十枚も写真を撮られ、今度はベッドに寝た状態で手首を拘束され、俺の上をまたいで立った木下さんに真上からまた何十枚も撮られた。 「乳首出して」 「はい」  アシスタントさんがせっせと木下さんの要望に応え、縛られて動けない俺に代わって服をあれこれといじる。本番撮影とは別で「真剣にエロいことをされる」というのは、何だか変な気分だった。 「亜利馬くん、ちょっとエッチな顔できるかな」 「ど、どうすれば……」 「まだ難しいかな。えっとね、じゃあ泣きそうな顔、悲しい顔でもいいよ」  俺は頭の中で懸命に悲しい話を思い出し、唇を噛んで眉根を寄せた。 「いいね。可愛い」  本当だろうか。情けない顔になっていないだろうか。

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