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「あ、あ……もう、嫌だ、ぁ……!」
「駄目だ。まだ五分も経っていないぞ」
竜介のエロい声を耳元に受けながら、俺は自分の指で自分の穴を慰めていた。ペニスに触ったら駄目だというが、自分で後ろの穴を弄るだけではちっとも気持ち良くなれない。もどかしくて辛くて、体中がむずむずする。大きく脚を開いた正面から撮られているのに、俺の意識は背後の竜介に向けられてばかりだった。
早く触って欲しい。虐めて欲しい。何もかもどうでもよくなるくらいに激しく、俺を抱き潰して欲しい――。
「お尻、弄って……竜介。……おちんちんも、……痛いくらい疼いてる、から……」
「扱きたいのか?」
「ん、……うん、……イきたいっ……」
「……はしたない身体には躾けが必要だな」
「やっ、……!」
カメラは回ったまま、一旦竜介が俺を放して自身にスキンを着け、その間に俺も自分でローションを使う。朦朧としていたけれど、俺にしてはオンとオフの切り替えがちゃんと出来ていた方だ。
そしてまた竜介が俺の体をベッドに倒す。
「ん……欲しい、……竜介の、ぶっとくて逞しい……おちんちん、欲しい……」
「くれてやるよ。奥まで、――な」
「あぁっ――!」
一気に貫かれて息が止まり、俺は竜介の背中に爪を立てた。
「感じるか、亜利馬」
「お、大っきい、のが……、ぁ……」
俺の両膝を持ち上げ、竜介が何度も腰を打ち付ける。突かれると押し出されるように声が弾けて……それが堪らない快感だった。
「亜利馬」
腕を引かれて起こされ、今度は俺が竜介の上になる。大きく開いた股にカメラが寄り、腰を上下すると同時に揺れる俺のペニスが画面いっぱいに移し出された。
「気持ちぃっ、……竜介、気持ち、いぃっ……」
「好きなだけ腰って、イイ所に当てろよ」
「んっ、ああぁ……竜介っ、……」
「イイ所」が具体的にどの辺りなのかまだ探り切れないけど、当たったフリをして声をあげる。これも演技――そう思った瞬間、俺の体がガクンと前のめりに揺れた。
「え、……?」
「………」
見下ろした竜介の口元がニヤけている。普段の優しい兄貴の笑顔じゃない。これは、そう……「ご主人様」だ。
「オラッ、気合入れて腰振れ、亜利馬っ!」
「い、ぁ……! うあっ、あ……ん、竜、介っ……!」
下からガンガン突き上げられて、意思とは反対に激しく腰が動いてしまう。さっき一瞬感じた「ナカの違和感」がまた、竜介の腰の動きと共に下から襲いかかってきた。
「んあぁっ――あ、や、やだ、何、これ……! やっ、あぁ……!」
「すっげ、ゴリゴリ擦れてる」
自分が自分じゃなくなるような恐怖に、俺は泣いてしまった。性感帯にスタンガンをあてられたような強烈な快感――俺の中を竜介の屹立が貫き擦る度に開いた内股が激しく痙攣し、情けないほど動揺した喘ぎ声が迸る。
これが、噂に聞く前立腺。
「んあっ、あ、ぁぁ! も、もうやめっ……竜介さん、止めてっ……!」
懇願は台本にないものだった。
「……っと。亜利馬、倒すぞ」
体位の変更も竜介のアドリブだ。それでもストップがかからないのを見ると、二階堂さんもこのままで良いと思っているのか……
再び正常位で突かれながら俺は意識朦朧で体をビクンビクンと跳ねさせ、「あー、あー」と色気も何もない喘ぎ声を発し続けた。依然として中の「気持ちイイところ」は竜介に蹂躙されている。
「イきそうか、亜利馬」
「は、い……イきそ、です……」
竜介の腰の動きが速まり、俺も絞るように声を出す。カメラが俺の顔の正面にきた時、自分でも意味不明だけど何故か力無く笑ってしまった。
「このまま出せよ、亜利馬っ……」
「ん、ぁ……あぁっ、……あ、イく、……イくっ!」
そうして俺は生まれて初めて、「後ろでイく」感覚を体に叩き込まれた――。
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