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「は、はい……。あっ、……あ、あぁ……」
完全に硬くなってしまったせいで、さっきのようにペニスを擦り付けるのが難しい。これじゃあ洗ってるんじゃなくて、獅琉の腕で自慰しているようなものだ。
それから何とか左腕も洗い終え、際どい首筋や頬の辺りもペニスで洗わされて、獅琉のOKをもらってようやく俺は彼の体についた泡を流した。……荒い呼吸が、止まらない。
「さてと。亜利馬、そろそろかな?」
獅琉が笑って、人差し指の先で俺の「下腹部」を軽く押す。
「んっ――」
「我慢してたでしょ。すっごい強く押し付けてたもんね」
「………」
予め決まっていた流れとはいえ、全てバレていると思うとやっぱり恥ずかしい。
「が、我慢……できないです。獅琉さん、お願い……」
「何を? ちゃんと言ってくれないと、分からないな」
あくまでも声は甘く、だけど獅琉の口元がサドっぽく歪む。こんな顔、普段は間違っても見せないのに――
「お、……おしっこ、したい、です……」
「したいだけ?」
「……や、ぁ……」
潤んだ目から涙が零れた。
「し、してるとこ……。俺が、おしっこしてる、とこ……獅琉さんに、見て欲し……」
「……いい子だね亜利馬。おいで」
スツールから立ち上がった獅琉が、今度はバスタブの縁に腰を下ろした。両脚をお湯の中に浸けて、自分の膝をポンポンと叩く。そこに乗れという意味だ。
「ふ、ぅ……」
バスタブの中に入り、同じ方向を向いて獅琉の膝の上に尻を乗せる。片脚を持ち上げられた瞬間、落っこちてしまうかと思ってつい獅琉の腕を掴んでしまった。
「大丈夫だよ亜利馬。俺が支えてる」
演技ではなく素の優しい声で囁いて、獅琉がもう片方の脚も持ち上げた。獅琉の上に座って大きく開脚している――剃毛された上にこんなポーズを取らされて、本当に子供みたいだ。
「ちゃんとできたら、ベッドでご褒美あげるよ。俺の言うこと聞けるよね。……亜利馬は良い子だもんね」
もう優しくなくなった獅琉の声が、俺の耳の奥を意地悪くくすぐる。控室でお茶をたくさん飲んだ分を今すぐ出してしまいたいのに、屹立しているそれのせいでなかなか出ない。
「んん、ん……」
「頑張って亜利馬」
「ふ、あっ――」
ペニスに一瞬の痺れが走り――やばいと思ったその時には既にもう、止まらなくなっていた。
「ああ……や、だ……出て、……!」
「出てるね亜利馬。ヤラシイ音」
わざわざ風呂の中にさせるのは、その方が音が大きく録れるからだ。すなわち俺の羞恥心を煽るためであり、イコール売上げアップを狙っているからだ。
「や、っ……嫌だ……!」
だけど俺は恥ずかしがるどころか涙をぼろぼろ零して顔を背け、自分の痴態を見ることが出来ない。決意して企画を受けたもののこんな気持ちになるなんて、想像もしていなかった。
「大丈夫。綺麗だよ亜利馬」
相手が獅琉じゃなかったら、俺はこの状況に耐えられず暴れていただろう。
「……ん、んう……う」
お湯の跳ねる音が徐々に小さくなり、全てを出し切ってようやく止まった。獅琉が涙と汗で濡れた俺の頬にキスをして、「頑張ったね」と小さく囁く。
――終わった……。たったの一シーンなのに、異常に長く感じた……。
「オッケーです!」
ピンク色のバスルームにその声が響いた後で、獅琉が俺の頭をめちゃくちゃに撫でてくれた。
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