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 それから獅琉と潤歩が帰ってきて、「ああ疲れた」と当たり前のように俺の部屋で夕飯を食べ出した。  今日買ったばかりの真新しい布団の上で大盛りチャーハンにがっつく潤歩が、ついさっきアップされた生配信のアーカイブを見て馬鹿笑いしている。 「マジ傑作。このツラ最高」 「……そこだけ繰り返して見ないでくださいよ」  その潤歩の横でパスタを食べながら、獅琉は今朝とは違う部屋の中をきょろきょろと見回していた。 「このテーブル可愛いね。木目調でSNS映えしそう。青いカーテンもお洒落だし、亜利馬って割とセンスあるよね」 「店員さんに勧められたのを買っただけなんですよ」  相変わらずの自由な人達に苦笑しつつ、俺は「何か忘れているような」と視線を宙に滑らせた。 「そういえば亜利馬、ブレイズの動画も月2でやるって知ってた? 俺はちょっと前から山野さんに聞いてたんだけど、亜利馬がやりたいって言ってたこと出来そうで良かったね」 「そうなんです、俺もそれが楽しみで! ほんとに俺、本番の絡みと同じくらいそっちにも力入れますよ!」 「やることいっぱいだね、亜利馬!」 「はい!」  俺達が青春している間、潤歩はずっと動画を見て笑っていた。 「潤歩さん、それ以上チャーハンこぼさないでくださいよ。その布団買ってきたばかりなんだから」 「そんなことよりお前、俺達の中で竜介が一番セックスが上手いとは言ってくれたよなァ。誰がお前のデビュー作を手伝ってやったか忘れてんのか」 「だって、あの場じゃやっぱり一番年上の竜介さんを出した方が良いと思って」 「機転が利いてると思ったよ。俺でもそう言ったと思うもん」  獅琉が同意してくれて、「ですよね」と俺はそれに頷いた。……実際俺にはまだ、誰が上手いとかそういうことは分からない。何せ毎回余裕がなくなってしまうのだから。 「大雅が見たら怒るんじゃねえの。知らねえぞ俺は」 「大雅はそんな子供じゃないですよ、って、……あぁっ!」  突然叫んだ俺に、潤歩と獅琉が目を丸くさせる。すっかり忘れていた。竜介のお見舞いに行くと、大雅に言ってあったんだ。 「す、すいません。ちょっと大雅の部屋行ってホットケーキ作ってきます。帰る時ゴミとかそのままにしておいて大丈夫ですからっ」  慌てて立ち上がり玄関に向かう俺の後を、獅琉が付いてくる。 「どうしたの? 何でホットケーキ?」 「竜介さんが大雅の部屋で寝てるらしくて。お見舞い行くって約束してたんです」 「そういうことか。……潤歩、俺達も手伝いに行くよ」 「面倒臭せぇなぁ。風邪うつされたくねえな」  ぶつぶつ言いはするものの、結局潤歩も来てくれるのだ。こういう時に俺達の絆というものを再確認する――それは俺達五人の、大事な「兄弟愛」だ。  階段で四階へ移動しインターホンを鳴らすと、少しして「開いてる」と大雅の声が返ってきた。 「お邪魔します……」  三人で玄関に入り、部屋に上がる。廊下から見えるリビングに大雅の姿はなかった。となると、竜介が寝ていると思われる寝室か。 「竜介さん、大雅。遅くなってごめんなさい。まだ起きてるなら、すぐホットケーキを――」  寝室のベッドに竜介が寝ていた。気持ち良さそうな寝息をたてて、時折ほっぺたを指でかきながら「ううん」とその大きな体を捩っている。  それはいい。病人なんだから寝ているのは当然だ。だけど…… 「あ、え、えっと、……大雅。ホットケーキ、どうする?」 「……作って」  そう呟いた大雅の半開きの目は、眠気によるものじゃない。一目で分かる。  何故ならベッドに横たわる竜介と大雅が、全裸だったからだ。俺達の目の前にあったのは明らかに「事後」の現場だった。 「お邪魔しました……」  獅琉が潤歩の腕を引いて、そっと寝室を出て行く。 「えっ、帰っちゃうんですか」 「だって俺達はたぶん邪魔でしょ。亜利馬、ホットケーキ作り頑張ってね」 「そんなっ」 「この様子だと、竜介が起きてからもう一回戦始まるな」  不吉な予言をして、潤歩が俺の頭をぽんぽんと叩いた。 「その時は、動画撮って送れよ」  ――ブレイズの五人は兄弟みたいに仲が良いんです。  俺達の絆。五人の兄弟愛……。 「じゃあね、亜利馬!」 「………」  次に生配信の機会があった時は、絶対絶対、末っ子の苦労を暴露してやる。  俺はそう固く決めてキッチンへ行き、冷蔵庫から牛乳と卵を取り出した。

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