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喪失フリークアウト 03 | 秋雨の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
喪失フリークアウト
03
作者:
秋雨
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03
初月
(
はつづき
)
奏汰
(
そうた
)
。 彼がαであることは、βの一樹にすら一目で判った。 一樹が初めて初月を見たのは、柔和な笑顔で校門に立つ彼が、新入生への挨拶をしている所だった。 初月は一樹や梓より二つ先輩で、入学した高校の生徒会長を務めているらしい。 さらりとした色素の薄い髪、人のよさそうな垂れ目。 聞くもの全ての心を従わせる凛とした声、しゃんと伸ばされた背筋。 その背に見える桜の淡い桃色でさえ、初月の前では彼を引き立たせるための置物のように見える。 どれを取っても、一樹には敵わないものばかりだった。 もし、こんな人が梓の魂の番だったら。 ぞわりと嫌な予感がして、一樹は思わず隣に居る梓を見た。 見なければよかったと思ったのは、僅か二秒後のことだ。 「……あ、ずさ」 呼び掛ける声が震える。 梓は呆けたような表情で、初月を見つめていた。だのに、目だけが熱に浮かされたように潤んでいる。 その視線に、初月も梓を見た。 見開かれる初月の目、ふんわりと赤く染まる梓の頬。 一樹はそれを見ただけで、それがどういうことなのか、瞬間的に理解した。
――
魂の番であるαとΩは、一目で惹かれ合うのだ。 Ωで一年生の梓が生徒会に招集されたのは、それからたった五日後の話だ。 次の発情期に、梓は、あっけなく壊れた。
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