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「そ、ぅた……さ、そうたさぁ……っ、あぁッ、あ、ん! んあぁ、ああぁあぁ!」
少しだけ開いたカーテンの隙間から注ぐ光に、梓の汗ばむ身体は艶やかに照らされていた。
その光芒 の下で大きく足を開いた梓は、蜜の滴る後孔を自らの指で掻き回しながらびくびくと身体を震わせる。
その間にも空いた手で昂りを擦れば、そこからは色のない精がとろりと零れた。
それを掌で掬って再び竿に塗りつけると、先端だけを撫でるように刺激する。
「はぁ、あ……っ、そーたさん……あ、あぁ……んん……!」
イったばかりで敏感な先端を刺激するのは辛いのか、太股をびくびく痙攣させながら腰を揺らす梓。
苦しそうに顔を顰めながらも、先端を撫でる手は止めない。
ぐちゅぐちゅと粘る精の音が、どんどんと早くなっていく。
「ひ、ん、ぃ……あ、そおたさっ……、あ! ああ、ああ…ぅ、ぅんん……!」
その間にも拙い指使いで掻き回す後孔からはどろどろの蜜が溢れ、それは梓の太股を伝ってベッドを濡らす。
シーツは梓の汗やら精やらで、傍目に判るくらいぐしょぐしょになっていた。
「あ、あぁ……っあ、あ! あぁっ……そ、うたさん……! だ、だめぇで、でるぅ……ッ、でる、ああぁあ、んぁぁあぁああぁッ!」
快感に叫ぶ梓はびくんと一度大きく跳ねて、がくがくと身体を震わせる。
腰を突き出すように背中を反らせば、先端から勢いよく透明な液が噴き出した。
梓が手を動かせば動かすだけ、それは噴水のように飛び散ってばたばたとシーツを濡らす。
びちゃびちゃという音を響かせながら、先端に絡みつく精をも洗い流すほどの潮。
後孔がひくひくとその指を締め付けているのが、ここからだとよく見える。
「あ、ああっ、は、ぁ……はぁ、はぁっ……!」
「……終わった?」
「……! い、いつき……」
粘っこく響く水音も、初月 を求める甘い声も、部屋の入り口で息を殺す一樹にとっては、なにより不快だった。
行為の切れ目にぶっきらぼうに声を掛ければ、梓は弾かれたように飛び起きる。
そこで初めて自分の行為に気が付いたようだ。
潮と精で濡れるその手に視線を落とすと、梓はくしゃりと顔を歪ませる。
「ち、が……違う、違う……っ、僕は、僕は一樹が……一樹だけが好きなのに……っ」
「……梓」
「違うんだよぉッ……! あ、あぁあ、ああぁああぁ……!!」
薄暗い部屋でも判るほど瞠られた目尻から、大粒の涙が、一つ、一つ落ちていく。
梓は顔が汚れることも厭わずに、その顔を手で覆った。
それでも指の隙間から涙も嗚咽も零れて、梓の太股にぽたぽたと落ちていく。
「こんな身体……っ!」
梓は枕元に置いてある注射器を引っ掴むと、その太股に何の躊躇いもなく打ち込んだ。
しかし、その足元にはすでに空になった注射器が三本も落ちている。
それは過剰とも言える量だった。
「一樹だけが、一樹だけが好きなのに……っ、どうして言う事聞いてくれないんだよぉ……ッ!」
梓は引き抜いた注射針で、自分の太股をがりがりと引っ掻いた。
綺麗な太股に引かれる赤い線の上に、小さい血がぽつぽつと滲む。
一樹はそれを止められないまま、ぼんやりと眺めていた。
このやり取りも、これでもう四回目だからだ。
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