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第8話

「――で? 調子に乗って再び我らを虐げようと1人でノコノコやってきたのか?」 「1人じゃない。もう1人いた筈だ。お前達が猿川に何かしたんだろう?」  桃太郎は縄で縛られ、尋問されていた。ボスらしい一際体が大きな赤鬼は黙って座っており桃太郎を捕まえた鬼達が桃太郎を取り囲んでひたすら桃太郎を問い詰め続けている。暫くその様子を見ていたボスらしき鬼が静かに口を開いた。 「そう言えば、先程1艘の小船がこの島から去って行ったな。あれは雉の船だろう。窓から2人分の姿が見えたぞ」 「な……」 「お前……裏切られたな」  その言葉に、桃太郎は青ざめ絶句した。はくはくと口を動かしたが声は漏れない。何故? どうして自分が? 本当に裏切られたのか? そんな疑問が脳を掛け巡ったが、鬼は知らないだろう。縄できつく縛られ、身動きは取れない。彼らに裏切られたならば助けに来る者はいないだろう。ここまで来たとしても勝てやしない。桃太郎は死を覚悟した。 「フン、静かになったな」 「それにしてもコイツ、凄え綺麗な顔してるんスね」 「好きにすりゃいいさ。どうせ男の肉なんざ食っても美味くねえだろ」 「そうだな。それにコイツにゃあ散々な目に遭わされたんだ。殺して食うのは勿体無え」  鬼の1人が桃太郎の髪を掴んで引き寄せ、服を縄ごと爪で引き裂く。それを合図に他の鬼も一斉に桃太郎に襲い掛かり、嬲り始めた。 「何を……ッ、止めろ、離せ、離れろ……っあ」  桃太郎が必死に鬼達の手から逃れようと藻掻いても、それを嘲笑うように四肢を撫でられ、舐め回されるだけである。忌まわしい。気持ち悪い。だが自決は赦されぬ。力尽きた桃太郎が抵抗を止めたのは夜が明けてからだった。

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