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━━━━男からしっぽと角が出てる。
さすがに驚いて、言葉が出なかった。
ギュ。好奇心で角に触れてみた。オモチャとか飾りじゃない。本当に生 えてる……
「ちょ……! エッチ!! つ、つ!角は特別な相手しか触っちゃいけないんだよ! そんなにベタベタ触ったりして……! 俺と付き合いたいの!?」
真っ赤になり、男は慌ててる。……なんだろう。悪魔に見えない。
「悪魔と付き合うわけねぇだろ」
「酷い! じゃ、期待させないでよ! 悪魔だって傷つくんだけど!」
今度は涙目で怒ってる。
真夜中なのにテンション高いな。なんか角もしっぽも生えてるし、現実味もないけど、全然怖くないし、騒がしすぎる。
「…………泉は俺の悪魔の角としっぽを見ても、あまり驚かないね……」
「これでも驚いてる」
「表情筋、死んじゃってるの? 可哀想……」
男が憐れむ目で見てくる。
「死んでねぇから」
それよりも━━
「…………魂を取られたらすぐに死ぬのか? 悪魔と交わったりしたら━━」
別に人生に悔いがあるわけじゃないけど。
「あは。大丈夫。俺が欲しいのは精液だから。 願いにもよるかな…… 大体は寿命を数年もらって願いを叶える」
目の前で、悪魔の角としっぽを見ても、まだ実感がない。
「俺、まだ一度も願いを叶えたことないんだ。 なんか、寿命取ったりしたら、可哀想だし……」
「悪魔失格」
「泉が言う!? 寿命か魂をもらわないで願いを叶えると消えてなくなるんだって。 悪魔社会は厳しいんだ。 上司は鬼みたいに厳しいし、ノルマも規則も多い。 人間に肩入れし過ぎると処分される」
「処分って……?」
ちょっと興味が湧いて、聞いてみた。
「詳しくは知らない。 人間や犬猫、酷いと虫とか雑草に転生されるって噂。 ある日、突然、いなくなるんだ。 その悪魔の行く先は誰も知らない。 俺は猫がいいなぁ…… 働かなくていいし、誰かに可愛がってもらえるし」
「ニート希望か」
思わず、突っ込んでしまった。
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