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「あぁッ…… や!」
男の頬が赤く染まる。
「お前、ケツに突っ込まれて、感じてんの? 遠慮はいらないみたいだな。 もっと奥まで犯してやるよ」
逃げる腰を捕まえて、ガンガン腰を振った。
「やっ……ダメ! もっとゆっくり…… ん、ぁぁ!」
男なのに甘い声。ストーカーのくせに思ったより……
「最初の威勢はどこいったんだよ」
「あ! アァあ……!」
散々、『虐めて』って言ってたくせに挿れた途端、逃げ腰。涙目に加虐心を刺激される。
「答えろ。この変態!」
「や、ぁん! 人間のくせに、は……んんっ! やらしすぎ! ど……どうしよ。俺、インキュ、バスなのに……ふ、あぁ…… 人間にイかされちゃう……あぁアァ━━!」
「すっごい気持良かった……」
うっとり男が伝えてくる。
「あっそ。じゃ、出てってくれ」
タバコを取り出し、火を付ける。
「ちょっと!情緒ない。ヤッてすぐ追い出す男は嫌われるよ。 しかも、タバコ吸うの? 精液が不味 くなっちゃう…… 健康にも悪いし、やめた方がいいよ」
怒ったかと思ったら、今度は心配そうな顔。
「とっとと帰れ」
「酷い! さっきはあんなに情熱的に抱いたくせに!」
…………とはいえ、すでに朝方。バスも電車もない時間だし、仕方ないか。
「おい。ストーカー」
「ストーカー!? 名前も『レイン』って教えたじゃん。 そうだ。お兄さん、名前は?」
「…………泉 。 そこの水取ってくれ」
ベッドボードに置いてあるペットボトルを指さす。
「無理」
男の予想外の答えに驚く。
「は?目の前にあるじゃん」
「俺は淫魔。 『悪魔は願いを無償で聞いてはいけない。必ず、対価を必要とする』。 泉も水一本取ってもらうだけで、寿命取られたり、魂抜かれたくないだろ」
「…………」
意外と設定が凝ってるな。
「全然、信じてない顔だね」
「ただのストーカーにしか見えない」
「見せてあげる……」
オオオオォォン……
不気味な音がして、空気がヒヤッとすると、部屋の電気が勝手に消えて、目の前の男が姿を変えた。
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