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悪魔は『帰れ』と言っても帰らず、何度、玄関から追い出しても、まるで手品のように家の中にいた。
騒がしいドMインキュバスは何故か、俺に懐いてしまい、毎日、あの手この手を使って迫ってきた。そして、狭いアパートに悪魔が住み着くこととなる。
「泉、お帰りー! 今日は餃子だよ。 トイレとお風呂掃除もしたんだ。褒めて褒めて!」
レインは悪魔というより、むしろ人間っぽく、尽くし魔の世話焼きだった。『タダ飯喰らいはインキュバスとして恥』との自論。毎日、炊事洗濯料理、驚くほど完璧にこなした。
レインが住み着いてから、生活が激変。正直、とんでもなく楽になった。あとはワンナイトの相手を探す手間も省け、色恋関係で揉める心配もない。レインを強引に追い出せない理由の一つでもある。
精液を取られても、三食食べ、しっかり休んでるせいか、むしろ顔色が良くなった……気がする。
「男は尽くしたら、イチコロって雑誌に書いてあったよ。 感動した? エッチする?」
「課題やってから」
「え━━! 朝からずっと待ってたのに」
最初は男なんて……そう思ってたけど。
━━━━アレだな。犬を飼ってる気分。俺が帰るまで健気に待って、構うとしっぽを振って喜ぶ犬。
「今日は口で飲ませて」
タバコを吸ってたら、レインが襲ってきた。
「なんで、泉の……こんなに甘いんだろう……」
俺のを咥えて一生懸命されたら、そんなに悪い気はしない。
「おい。そろそろ1回離せ。 灰が落ちる。危ないぞ」
「悪魔は痛みを感じないから平気だってば。 ね、そんなことより…… 頭、撫でて」
仕方なく、そのまま手を伸ばして、灰皿を取る。タバコの火を消してから、レインの髪を撫でた。
「頭撫でられると幸せ。 泉。やっぱり、したくなっちゃった……」
上目遣いでジッと見られて、思わず、ムラッとくる。
自分の気持ちとは裏腹に、俺は少しずつ、レインに絆されていった。
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