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ある日、帰ると━━裸エプロンで猫の耳を付けてるレインがキッチンにいた。
今度は一体、何を始めたんだ。おかしな恰好に笑ってしまう。
「…………泉の帰りが待てなくて、猫のしっぽ付きのオモチャで遊んじゃったの」
しっぽが入ったままの後ろを見せられる。
「泉……? 俺、悪い子でしょ?お仕置きして? 今日はキッチンで立ったまま、新婚さんプレイしたいなぁ」
相変わらず、ドM。全然ブレない。
「新妻は猫耳、付けねぇし、裸エプロンとか馬鹿な真似はしない」
俺の言葉に唖然とするレイン。でも、ちょっとシュンとして、落ち込んでるのが可愛くてまんまとキッチンでやってしまった。
「キスしよ。泉」
無視してたら、無理矢理、唇を奪われる。
チュ。チュ……
「タバコ、止めた方がいいよ。 寿命減っちゃうし、苦い」
レインは終わった後、キスを欲しがる。
「余計なお世話。しなきゃいーじゃん。キスなんて」
「情緒がないなぁ。 俺は泉のキス好き。 優しいし、なんか愛されてる気がする……」
「愛してない」
レインの言葉にドキッとした。確かに、最近……
「俺、知ってるよ。 泉は口は悪いけど、本当は優しい。 俺のこと、見捨てなかったし、この前、家の前で転んでるおばあさんを助け起こしてただろ?」
レインが優しい顔で笑う。
見られてたのか……
「別に。邪魔だったから」
「泉は照れ屋だね。悪ぶらなくてもいいのに」
「阿呆なこと言ってると、今夜はヤんねぇぞ」
「ごめん! もう二度と言わないから!」
焦って謝ってくるレインに笑ってしまう。
「何、笑ってるの……?」
レインが上目遣いで見てきた。
━━時々、レインが可愛く見える。
少しずつ、俺の中で、何かが変わり始めていいた。
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