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バイト帰り、自宅の近くまで戻った時だった。
「危ない!!」
誰かの声がして振り向く。暗い夜道にライトが光り、一瞬、何も見えなくなる。
トラック……!? ぶつかる! そう思った瞬間、強い衝撃、激しい痛みと共に投げ飛ばされた。
なんとか、目を開けると道路に血の海が一面と広がっている。ドクドクと血が流れる。俺の血……?俺は地面に倒れているみたいだった。体中痛くて手も足も動かせない。胸に刺すような痛み。呼吸も苦しい……
━━━━俺、死ぬのか?
「い……泉!」
レインの声がする。
「泉っ!!」
━━━━目が霞む。
アイツ、俺がいなくなって、精液飲めなくなっても大丈夫かな。また、腹をすかせて倒れたりしないといいけど。上手くやっていけるだろうか……そんなことを考えながら目を閉じた。
気が付いたら、自宅の部屋のベッドだった。
心配そうに覗き込むレインと目が合う。
ガバッ!起き上がると、違和感に気が付く。どこも怪我をしてない……
━━━━俺、さっき、トラックに轢かれたはずなのに。夢だった……?いや。アレは……
「良かった。目を覚まして」
涙目のレインに手を伸ばそうとしたら、レインは一歩引いて口を開いた。
「お別れだ。泉」
「………………え?」
「俺は意味もなく、人の生死を変えてしまった。処分を受ける為に行かなきゃいけないんだ」
『生死』? 言われた言葉を理解するのに時間がかかった。やっぱり、俺はさっき、事故に遭った? レインが救ってくれたのか……
「…………戻ったら、どうなる?」
「多分、消される」
「分かってるなら、戻らなきゃいいだろ」
レインが……いなくなる……?
「そんなわけにはいかない。悪魔には悪魔のルールがある。規則なんだ。 俺は禁忌を犯した。超一級の重罪……」
「なんで、俺を助けたんだ。余計な━━」
「…………うん。それでも、泉が大好きだから放って置けなかった」
レインの目に涙がたまる。
「…………嫌だ。行くなよ。レイン」
━━━━これが最後?
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