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第7話 二人の物語りの始まり
「黒崎!? おい、どうしたんだ? 大丈夫か!?」
黒崎は、苦しそうに目を閉じて、呼吸も少し荒い。
彼は沢井に気づくと、薄っすらと目を開け、
「沢井先生、大丈夫です……。少し、貧血気味なだけで……」
そう言って、立ち上がろうとするのを、慌てて止める。
「ちょっとジッとしてろ!」
沢井はまず脈をはかろうと、彼の細い首筋に右手を当てると、黒崎の体は驚くほど熱くて……。
「おまえ、すごい熱あるぞ! とにかく戻ろう。立てるか?」
「……いえ、本当に、平気です……か……ら……」
最後のほうの言葉は消え入るように小さくなって、途切れた。
そのまま黒崎の華奢な体が、沢井のほうへ力なくもたれかかってきた。
「黒崎っ!!」
沢井は黒崎の体を支えるように自分の胸に包み込むと、ズボンのポケットからスマートホンを出して、当直の川上を呼び出した。
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