8 / 109
第8話 記憶の繋がり
黒崎は、眠りと覚醒の狭間で、自分が病院にいることに気づいた。
……あれ? オレ、昨夜、当直だったかな?
ああ……、やばい。いつの間にか、眠っちゃってたみたいだ……。
重くてなかなか、持ちあがってくれない瞼を必死にこじ開ける。
ぼんやりとした視界に、いつもの見慣れた医療機器たちがあったが、それを見る角度がいつもとは違った。
…………?
視界は徐々にクリアになっていくが、依然頭はぼんやりと霞がかかっていて、状況がいまいちつかめない。
そのとき、そばを通りかかった看護師が、黒崎が目を覚ましているのに気づき、
「あ、黒崎先生、気が付きましたか? 今、沢井先生を呼んできます」
そう言って、走っていった。
黒崎の中でゆっくと記憶の糸が繋がっていく。
……ああ、そうだ。
昨日の帰り、出入り口のところで、また左半身がすごく痛んで、立ってられなくなって……、そしたら、沢井先生が来て……。
……それからの記憶がない。
黒崎が思いだそうとしていると、沢井がやって来た。
ともだちにシェアしよう!