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第17話 無表情の下の本音

「……沢井先生、昼もそんなこと言いましたね、オレのこと優しいって」  黒崎は怪訝に思い、そう聞いた。 「優しいじゃないか。そうやってオレの体のこと心配してくれるんだから」 「それは……、後輩として先輩の沢井先生のことを心配するのは当然のことだからです」  黒崎が言うと、沢井は苦笑を浮かべた。 「……おまえなー、無表情でそういうことを言うなよ。嘘でも、『大切な沢井先生のことが心配で……』とかくらい言えよな」 「……は?」  沢井の言う意味が黒崎にはよく分からなかった。  首を傾げる黒崎を見て、沢井はどこかばつが悪そうな表情をしてから、言葉を続けた。 「……それにその怪我のことだってそうだろ。警察にも届けないで一人で抱えて、優しすぎるくらいじゃないか」 「それは違います」  黒崎は即答した。 「オレは面倒なことが嫌いなだけです。相手と話し合ったりして、自分の時間がとられてしまうのが」  そう、オレは優しくなんて決してない。  ただ煩わしいだけだ……自分の生活に他人がかかわってくるのが。 

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