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第37話 プレゼント

「……? なんですか?」  黒崎は紙袋を手に取り、中を見てみると、 「沢井先生、これ……」  あの白黒ぶちの猫のパステル画が入っていた。 「全快祝いのプレゼント。ラッピングとかはマスターには無理だから、そのままで悪いけど」 「え……、で、でもこんなの受け取れません……」  黒崎は慌てて言った。  なんだかねだったみたいで恥ずかしかったし、それにだいいち絵って高いのではという気持ちが受け取りを拒ませた。  そんな黒崎の心の中を読んだかのように、沢井は苦笑した。 「そんな顔すんなよ。心配しないでもアマチュアの絵だから、びっくりするくらい安いし。それに絵も大切にしてくれる人の手に渡るのが一番幸せだと思うしさ」  そう言って、先にさっさと歩いていく。  黒崎は沢井のあとを追いかけた。 「でも、せめて半分くらいはお金を払い――」 「言っただろ? 先輩の顔を立てろって」  振り返った沢井に再び言われてしまった。  素面の黒崎だったら、絶対に受け取っていなかっただろう。でも、このときはまだ酔いが残っていた。それにやはりその絵の猫は、昔の愛猫に本当によく似ていたから……。 「……ありがとうございます」

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