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第50話 自分の気持ち

 ……謎は解けた。  いくらその手のことには疎い黒崎でも、さすがに自分の気持ちに気づかないわけはなかった。  自分が沢井に持つ不思議な感情……不可解な謎。 『オレはおまえを愛してる』 『好きなんだ……』  沢井の声がまだ耳の奥に残っている。黒崎の泣きたいくらいの切なさとともに。  謎の答は……、  ……オレも沢井先生が好きなんだ……。  彼に強引に口づけられ、強く抱きしめられて、告白をされて……。  いまだ黒崎の心の中のパニックはおさまっていない。  でも、不快では決してなかった。  沢井にされたことに対して怯えこそあったものの、嫌悪感や不快感などはまったくなかった。同性だというのに。……それがなによりの真実だろう。  謎が解けてしまった以上は、もういろいろな理屈や理由付けは意味をなさない。  自分の沢井への思いは恋愛感情だとはっきり気づいてしまったのだ。もう気づいていなかったときの自分には戻れない。  黒崎の心には謎が解けたことの安心感も、本当ならばあるはずの、好きな人と思いが通じ合っているということへの心弾むうれしさも、なかった。  それどころか、深い底なし沼に足をとられたような不安さえ覚えていた。

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