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第63話 ただ愛しくて……

 沢井は何度も噛みつくようなキスを繰り返したあと、酸素を求めて薄っすらと開かれていく黒崎の唇のあいだに自分の舌を差し入れた。  途端に黒崎の体が怯えたように強張った。  逃げる舌を追いかけ、絡ませる。  沢井は愛しい人の口内を存分に愛すると、いったん唇を離した。  黒崎は受け止めきれなかった唾液を唇の端から滴らせて、荒い息をついている。  そんな彼の姿はたまらなく色っぽく、綺麗で……。黒崎のすべてを手に入れたい衝動が強く心を破りそうなくらいのいきおいで、込み上げてきた。 「黒崎……」  名前を呼ぶと、潤んだ瞳が、沢井を見つめてくる。  沢井は彼のなめらかな肌に大きな手で触れ、言った。 「……嫌だったら、今のうちに言えよ? これ以上進んだら、オレはもう自分を抑えることができない……」  沢井は黒崎に考える時間をあたえようとしたのだった。  自分のほうはもう黒崎を求めて、ギリギリ限界のところまで来ている。  けれども、今まで恋愛経験がなかったらしい彼のすべてを、いきなり手に入れてしまうことが許されるものなのか、と躊躇う気持ちもあった。  黒崎は涙をたたえたような濡れた瞳に沢井を映し、ゆっくりかぶりを振って呟く。 「……好きです……沢井先生が……だから……」  そしてそっと目を伏せた。  もう、沢井は自分を抑えることはできなかった。  今一度黒崎の唇を奪うと、ゆっくりとソファへと押し倒した……。  深く口づけながら、沢井は黒崎の着ているシャツのボタンを外していく。  喉元を強く吸い上げながら、小さな乳首を指で刺激すると、黒崎の体がビクンと反応した。 「んっ……」  唇から甘い吐息が零れたかと思うと、黒崎はギュッと握りしめた手で口元を押させ、懸命に声を殺そうとした。

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