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肉豆腐①

チリンとベルを鳴らす。 「修。おはよ〜 後で豆腐貰いに来るから 木綿 いつも通りな。」 佑は自転車の速度を緩め 外でバケツを洗っている 友人に声をかけた。 「おー。佑。おはよ。りょーかい。」 手を上げ 通り過ぎると 俺が見えたのか パン屋のドアが開き これまた友達の崇が ブンブンと手を振っている。 また自転車のスピードを緩めた。 「佑。おはよ。肉団子取っておいてくれる? 取りに行くからね。お願い。」 「わかった。」 オッケーマークを指で作り 通り過ぎる。 道を進む間に 会う人会う人に挨拶をして 路地を入り先に進む。 店の裏に自転車を停めた。 鍵を開けて 中に入り とりあえず湯を沸かす。 仕事を開始する前に必ずコーヒーを淹れる。 今日は何にしようかなぁ。。 棚に入れてあるコーヒー豆が入っている缶を 物色した。 ああ。キリマンがいーかな。 近くの豆販売と喫茶店をやっているとこで いつもコーヒー豆を買う。 ここのマスターは比較的この商店街では新参者。 でも物腰が柔らかく 見た目もイケメン。 いつも若い子達で混んでいて それでいて 地元の奴らも気に入り 繁盛している店だ。 イケメンは癒し。 俺も目の保養8割で通っている。 勿論コーヒーも旨いし 豆も品揃えが豊富で 焙煎の塩梅が好み。 手挽きのミルでガリガリと豆を挽く。 ネルを洗ってよく絞ってからシワを伸ばし ハンドルにセットして温めたサーバーに乗せた。 挽いた豆を入れ ケトルでゆっくりと入れていく。 蒸らしを繰り返し お湯を回すように入れ コーヒーを抽出すると 辺りにいい匂いが広がった。 温めておいたカップに注ぎ 口をつける。 あー。旨い。 また一日頑張れる。 ゆったりとした時間が流れ コーヒーを 味わっていると 裏口が開いた。 「佑。おはよう。持ってきたぞ。」 「ああ。真斗ありがとう。」 手に持つダンボールを受け取る。 中には新鮮な野菜が色とりどりに入っていて トマトを取り 肩で拭いて パクっと齧り付く。 「旨い。甘いね。」 「おう。トマト良さそうなのがあったから 多目に持ってきたから。じゃあな。」 「ありがと。お父さんお母さんによろしく。」 真斗はひらひら手を振り帰っていった。 コイツも小学校の同級生。 この街には 沢山友人が居て 二、三歩歩けば 知り合いに当たる。 みんな家業を継いだり 会社員になっても 実家から通う奴が多く 俺の地元。 「佑ちゃん。おはよう!」 「山田さん。おはようございます。」 また裏口から声がかかり 今度は肉と魚が届く。 「うわっ。このイワシ ピカピカだ。」 発泡スチロールを覗き込み そう言うと 山田さんはニコニコ笑みを浮かべた。 「佑ちゃんとこに一番いいもん持ってきてるからね。 これで梅煮作ってよ。後で明に買いに来させるから。 アイツ 今 コロッケ揚げてるから持たせるよ。」

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