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肉豆腐⑧

「・・で? 今度は 犬コロ拾ったのか。」 矢島尚之はベッドの上で ゴロンと転がり うつ伏せになって ベッドボードの上に乗った 煙草を掴み 一本抜き出して 口に咥え火をつけた。 「犬コロって何だよ。別に拾った訳じゃねーし。 店の前で行き倒れ寸前じゃ そのまんまになんて 出来ないだろ。」 尚之の口から煙草を奪い取り 一吸い。 ゆらゆらと煙が上がっていく様に目を向ける。 ふん。と鼻を鳴らされた。 「お前は昔からそう。相変わらず野良猫にも エサやってんだろ。可哀想なヤツに優しくして 自分は可哀想じゃないとか思って 優越感に浸ってるだけじゃねえか。」 呆れたようにそう言って新しい煙草に火をつける。 「そんなんじゃない。。」 そうは言ってみたけど 尚之が全然信じてないのは 長い付き合いでよくわかってる。 コイツも同級生。 今はセフレの関係。 恋人だと思うのはもう止めた。 俺はゲイだけど コイツはバイ。 いい大学を出て 今は官僚。 彼女も多分いるんだろうし。。。 コイツがずっと好きだった。 クールでかっこ良くて頭も良くて何でも出来て。 気持ちが通じたと思った時は幸せで。 でも それは一生じゃないし ハナからコイツにそんなつもりはない。 尚之は 時が来れば 嫁を貰う。 フツーに結婚して 父親になるだろう。 俺との付き合いは ただの遊び。 欲を吐き出すのに気心知れてて楽だから。 妊娠しないからいいなって言われた事もある。 中出ししようがどうしようが御構い無し。 そうわかっても 関係を解消出来ないのは。。 俺に 単に勇気が無いだけだ。 仲間内で唯一この事を知っているのは修だけ。 二人でいる所を見られ その様子に 普通の関係じゃないと看破されて 問い詰められた。

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