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肉豆腐⑨

「尚之は俺たちとは違う。アイツはこの街を 簡単に捨てるようにお前の事も捨てるぞ。」 修はずっとそう言い続けていて。 俺がオンナに興味がないってわかっても 気持ち悪がらずにいてくれるし 態度も一切変えなかった。 完全にひとりぼっちの俺を逆にいつも心配し 嫁の杏ちゃんも 何かと気にかけてくれる。 修の言う通りだろうな。。 尚之はこの街に思い入れもなければ 人に対しても至極ドライだ。 それでもなかなか自分から切る事が出来ない。 誰かに抱きしめてもらいたいと思う欲求に 抗えない自分がいる。 一人になりたくない。 と同時に どうせ遠くない将来 捨てられるなら それまでは。。なんて情けない事を考える自分に 自分で嫌気がさしていた。 「崇に聞いたけど。その犬コロ 毎日 店に来てるんだって? ただのタカリじゃねえか。 甘い顔するから付け込まれるんだよ。 はっきり もう来るなって言え。」 尚之は知りもしないのにそう断定する。 まあ。確かにあれからほぼ毎日やってきて。 店が終わる30分くらい前にやってきて ガードレールに腰掛けて客が居なくなるのを じっと待っていて。 店を閉める寸前に立ち上がり ずっと握って 温かくなった300円をむんずと出し 「肉豆腐と飯を下さい。」って笑みを見せる。 そのまま 中に入れて椅子に座らせて 丼に飯と肉豆腐を盛ってやって食わせていた。 でも ここ三日程姿を見せない。 まあ。あんだけ食えば飽きるよな。。 そう思いながら また金が無くてどっかで ぶっ倒れてるんじゃないか。。って。 内心 そんな心配までしていた。

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