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肉豆腐15

気づくと 広い背中に顔をつけていた。 えっ。。 急いで顔を上げる。 真っ暗なうちの玄関前で 俺を背負ったまま 春が困ったようにキョロキョロと 辺りを見回していた。 なんとなく道案内を口にした覚えがかすかにあり もしかして送らせたのか。。 記憶は定かじゃないけど とりあえず たどり着いたのなら 説明出来たんだな。 家は店から徒歩10分くらい。自転車なら5分。 あー。やっちゃったか。。 酒はすぐ回るけど量飲まずにこうなるから 冷めるのも早い。 「春。ごめん。。もう大丈夫だ。」 そう声をかけると 春は振り返り ホッとしたように 表情を緩め じっと見つめた。 「佑さん。本当に大丈夫ですか?」 心配そうな声音に 背中をトントンと叩く。 春はしゃがみ 俺を降ろした。 恥ずかしいな。。もう。。 まさかこの年で人におんぶされるとは。。 「食わずに飲むと回るんだよ。 すぐ冷めるんだけどな。ちょっと疲れてたし。 待ってろ。今 開ける。」 ポケットから鍵を出し 引き戸を開けて 中の電気をつけた。 「ほら。入れよ。」 顔を出し そう言うと 春はふるふる首を振る。 「もう遅いので。帰ります。」 「帰るって何処にだよ。さっき渡してきた金 あれしか無いんじゃねえのか?」 ぐむっと口籠る。 その様子を見ると当たりだな。 「ほら。早く入れ。開けっ放しだと虫が入る。」 もう待たず 中に入り靴を脱ぎ 廊下を進む。 春は諦めたのか 恐る恐る中に入り カラカラと引き戸を閉めた。

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