16 / 74

肉豆腐16

振り返り 玄関に立ち尽くす春を少し睨みつけ ひょいひょいと手招きすると お邪魔します。。とデカイ体を縮こませ やっと靴を脱ぎ 廊下を歩いてきた。 うちは昔ながらの日本家屋で 今では贅沢な 平屋造り。縁側も庭もある代々受け継がれてきた 家だ。とはいえ 俺以外 もう誰もいないけど。 代々。。って言うと聞こえはいいが 実際は かなり古く あちこち傷んで 直しが必要で。 自分でしょっちゅう大工仕事もやる。 業者に頼まないと無理な場所以外は ガキの頃からやっているから別になんでもないし 当たり前の事だった。 座敷の電気をつけ まだ怖気づく春に向かって 顎をしゃくった。 カラカラと一面の窓を開け 縁側に出て 空を見上げると ぽっかり月が浮かんでいる。 春が近づいてきて 俺の様子を眺め 同じように視線を空に向けると ああ。。と小さく声を上げた。 「いーだろ。ここ。周りも平屋だから 遮るものも無いし 静かだし。」 座布団をポンと放り 春を座らせると 台所へ向かい 冷蔵庫からビールを二本。 ああ。朝の残りがあったな。。 明が休みだろって朝届けてくれたコロッケと唐揚げを 皿に乗せてレンチンし 冷蔵庫から漬物を出して 全部 お盆に乗せて 縁側に戻った。 「ほら。飲め。」 ビールを渡すと心配そうに俺とビールを交互に見る。 「ちょっと寝たからもう大丈夫だって。 これ食うし。お前も食いな。まだ腹減ってるだろ。」 縁側にお盆ごと置き ビールのプルを開けた。 コツンとビールを合わせ グビッと飲む。 あー。さっきより全然旨い。 やっぱりヤケ酒はダメだな。 コロッケを掴んで ムシャムシャ食べると 春もペコリと頭を下げ コロッケに手を伸ばし ガブっと齧り付いた。

ともだちにシェアしよう!