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肉豆腐20

「・・掃除は得意です。」 ああ。いいな。 もうそれだけで。。 「はい。合格。」 そう言って便箋を放り投げた。 灰皿を引き寄せ 煙草を出して火をつける。 え。。?と目を見開く春に ちらっと視線を向け 煙草を吸いながら 口を開いた。 「だから。合格です。お前 今日からうちに 住み込みでバイトな。部屋はいっぱいあるから。 家賃いらない代わりに 家事やってくれよ。 俺 掃除嫌いなんだよね。この家無駄に広くて めんどくさいし。 うちで今雇ってるバイト。大和ってわかるだろ?」 ほぼ毎日通ってくる春を大和も認識していて 見た目とは裏腹に礼儀正しいのが気に入ったのか 最近は コイツが待っている時に 麦茶を持っていって話しかけたりしてる。 春が頷くと 話を続けた。 「アイツ 就活でそろそろバイト 出来なくなるんだよ。誰か雇わなきゃって 思ってた所だったからさ。 仕事は 接客とおつかいに洗い物とかの雑用。 バイト代はたかだかしれてる時給制だけど 飯は食わせるし 住む上で必要なモンは 何でもあるから。」 「え・・いや。あの。。でも。。」 急な話に 頭が真っ白になったのか 口をパクパクさせている。 ビールを渡すと ゴクゴクと飲み はぁ。。と息をついた。 「・・俺みたいなどこのどいつかも わからないような奴。。いいんですか。」 「自分で言う?」 くすっと笑うと 春もそう思ったのか 苦笑いを口元に浮かべる。 「新しくバイト雇うんだって知らない奴だろ。 それに さっきも言ったけど 俺 料理とか大工仕事とかは得意なんだけど 掃除、洗濯 大嫌いでさ。 洗濯なんて洗うと Tシャツ全部同じ色に なっちゃうんだよね。。」 今 着ているのもそう。 白い筈が薄くブルーになっちゃった。

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