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肉豆腐21

「ああ。ただ一つ言っとく。俺 ゲイなんだよ。」 煙草を灰皿に押しつけながらそう言うと 春はポカンと口を開けた。 まあ。そうなりますよね。 「だからって取って食ったりはしねーよ。 カミングアウトしてる訳じゃないし でも一緒に住むなら言っておかないとな。 気持ち悪いなら無理にとは言えないからさ。 襲おうとしても体格差あるから無理だし 別に心配するような事は無いけど。」 呆気にとられたように口を開けたまま 春はマジマジと俺を眺め ふっと笑った。 「佑さん。正直なんですね。」 「そうか? 黙っててバレた方がめんどくさいだろ。 どーしてもプライベート晒すんだしな。」 足をぶらぶら揺らしながら ビールに口をつける。 春は ホッと息を吐き出し ペコリと頭を下げた。 「お世話になります。あの。俺。頑張ります。」 そっか。 よし。 じゃあ。決まり。 立ち上がり 隣の和室の部屋へ行き タンスの引き出しを開けて 服を出す。 戻って ドサッと春の手に乗せた。 「ばあちゃんが大事に取っておいた親父の服。」 春はそっと床に服を置き 濃紺の作務衣を手に取る。 「物は古いけど まだ着られると思うよ。 俺のじゃサイズ小さいから無理だけど 親父はデカイ人だったからさ。 当面の着替えにしていいよ。」 春は作務衣をぎゅっと握りしめ しばらく身動き一つせずに じっとしていると ゆっくり顔を上げ 「ありがとうございます。。」 くしゃっと顔を崩しながら 頭を深々とまた下げた。

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